創業者オタクが今月読んだ起業本#01「ジャック・マー アリババの経営哲学」
スタートアップ企業の代表を務めながら、様々な会社のリーダーや創業ストーリーを追いかける「創業者オタク」としても活躍する鈴木粋さんに、今月読んだおすすめの本を伺う本連載。
第一回目となる今回は、世界最大級のEC(電子商取引)事業者「アリババグループ」を創業した中国の起業家、ジャック・マー氏の「ジャック・マー アリババの経営哲学」を取り上げます。
コネなしの英語講師だった彼は、いかにして世界有数のIT企業を作り上げたのでしょうか?
今月の起業本:ジャック・マー アリババの経営哲学
今回、創業者オタクである私、鈴木がご紹介する本は、アリババ創業者のジャック・マー氏を取り上げた一冊です。
ところでみなさん、「アリババ(正式名称:アリババグループ)」という企業をご存知でしょうか?
今や中国を代表する世界的なテクノロジー企業であるアリババは、世界有数のシェアを誇るBtoBのECサイト「Alibaba.com」を立ち上げたところから始まりました。
その後BtoC・CtoCのECサイトや決済サービス、クラウドコンピューティングサービスなど巨大なビジネスエコシステムを構築しているアリババは、「中国版Amazon」ともいわれています。
そんなアリババを創った人、それが、ジャック・マー氏です。彼は中国で生まれ育ち、どこか閉塞感を覚えながらも、自身が創りたい世界のためにもがき、進み続けました。
彼を表面的に見れば、単なる「成功した人」にしか見えないかもしれません。しかし彼の半生は、数奇な運命とも言える荒波を乗り越え、時にくじけながらも立ち上がる、その連続でした。
この本を手に取ったのは、私のことを「創業者オタク」だと知る知人が「ぜひこれだけは読んでほしい」とプレゼントしてくれたことがきっかけです。その頃は私自身も事業づくりに苦戦しているタイミングでした。
「私よりも遥かに過酷な状況下にあったジャック・マー氏は、一体どのように一歩を踏み出したのか?」。その具体的な心持ちを吸収するべく、この本を読み始めました。
この本は、決してビジネスのことだけを語るものではありません。自分の夢に向かって挑むひとりの人間として、どのような思考で日々を送り、人や会社、事業と向き合うのかが、ジャック・マー氏の半生から語られています。
「成長」「継続」「起業」「生活」……。人生で大切な事柄のすべてにおいて哲学を持つジャック・マー氏。ただし、書かれているのは「彼が人並み外れた人間だからできるんだ」とお手上げになってしまうような内容ではありません。
多くの人にとって、重なる部分、重ねたい部分、重ねたくないけど重なっている部分、重ねるべき部分が詰まっています。
ジャック・マー氏は、自分のことを「体も小さく弱く、顔も良くない」と認識しており、その上で、誰よりも負けず嫌いで立ち上がってきた姿が、創業者オタクの私としても非常に魅力に感じるところでした。
彼は大学受験にも二度失敗し、周りからは、進学への反対や、バカにされたりと逆境はありつつも、負けん気を持って物事に挑み続けた故の今があります。その姿勢・心持ちに私は心震えたのです。
彼はとにかく人間味溢れた人。正真正銘『ジャック・マー=人間』なのです。だからここまで魅力的な経営者にもなれたのだと確信しています。
この本のタイトルでは「経営哲学」と書かれていますが、これから経営に挑もうという人はもちろん、「経営には興味がないが、生きている中でモヤモヤすることがある」という人にもぜひ読んで欲しい一冊です。
内容も経営のみならず、「人生哲学」という観点からジャック・マー氏の生態を読み解く構成となっており、物語・小説感覚で気軽に読むことができます。
この本を読み終えた時、きっとみなさんそれぞれの胸の内に、譲りたくない軸や指針、これだけは貫こうという信念が、湧きおこり、それらを行動に反映する活力が溢れ始めることでしょう。
より健やかな日常に、より良い挑戦を。