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メディア露出は「人とのつながり」がカギ? ビジコンで掴むスタートアップのPR成功の秘訣

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多くの立ち上げ期会社にとって、限られたリソースで効果的にメディア露出を獲得するのは大きな課題。「プレスリリースやSNSなどに取り組んでいるけど、なかなか問い合わせが来ない」というところも多いのではないでしょうか?

地元マスメディアをはじめとして様々なメディア露出を成功させている株式会社オーベルジュ藤本 代表の中村さんによると、「リアルなつながりを活かしたアクションがPR成功の秘訣」と語ります。ここでは同社の事例から、事業立ち上げ期のPR戦略について考えていきます。

プロフィール

株式会社オーベルジュ藤本 代表
中村 唯衣那

山口県出身、東京外国語大学卒業。特許翻訳者。家族の転勤で2016年から6年間伯方島で暮らす。そこでトップ漁師本純一氏と出会い、丁寧に処理された魚の美味しさに感動するとともに、地域社会や漁業を取り巻く状況の悪化に危機感を抱き、問題解決に貢献したいとの思いで2023年株式会社オーベルジュ藤本を設立。

しまなみの魚介×一流漁師×トップシェフのコラボで、しまなみの美食を世界へ届ける

鈴木
鈴木

メディア露出獲得戦略について聞く前に、まずはオーベルジュ藤本のビジネスについてお聞かせください!

中村さん
中村さん

オーベルジュ藤本は、愛媛県しまなみ地域原産の『超高鮮度だからこそ味わえる多種多様な魚介たち』を使った美食ビジネスを展開しています。社名の由来であるしまなみ海道のカリスマ漁師・藤本純一は魚の美味しさを最大限に引き出す技術を持っており、全国の有名レストランに魚を直接販売しています。

そこで藤本とつながりのある有名シェフたちとタッグを組み、しまなみ地域でしか味わえないオンリーワンの美食体験「ローカル水産ガストロノミー」を提供したいと考えています。

中村さん
中村さん

現在は愛媛県の伯方島で間借りレストラン「虹吉」を営業していますが、今後は地域の海運会社や宿泊施設・交通機関と連携し、宿泊付きのレストラン、いわゆるオーベルジュとしての展開も予定しています。

鈴木
鈴木

地元の資源を活かし、しまなみ地域を盛り上げる事業なのですね。事業の立ち上げ当初からPRや認知獲得活動に注力しようと思っていたのですか?

中村さん
中村さん

そうですね。私たちのビジネスのターゲット層は都会にいるフーディー(美食を求めて高級レストランを巡り歩くような裕福な人々)なのですが、都会からしまなみ海道という遠い距離まで足を運んでもらうには、まず知ってもらうことが不可欠。

数年後にオーベルジュが完成したときにきちんと稼働率を高められるように、初期から全国の美食家に対するPRは必要だと考えていました。

またもう一つ、重視しているのが地域の方々との関係構築です。地域に根差したビジネスを展開するにあたり、地元企業との連携は必須ですし、愛媛県全体で応援していただくムードがなければこの事業は成立しないと感じていたので、そこにも力を入れていました。

鈴木
鈴木

なるほど、「フーディー」と「地元の人」という二つのターゲットに対してPR施策を行なってきたのですね。

これまでどんなメディアに取り上げられてきたのでしょうか?

中村さん
中村さん

これまでに「愛媛新聞」「週刊愛媛経済レポート」「テレビ愛媛」「あいテレビ」「FM愛媛」「南海放送」など、愛媛地域を中心にしたマスメディアに複数回取り上げられた経験があります。

また全国のメディアではTBSテレビ「バース・デイ」、BS朝日「魚が食べたい!」雑誌「ゲーテ」にも取り上げられました。

鈴木
鈴木

法人設立から1年たたずで、本当に多くのメディアに取り上げられていますね…!! ぜひメディアに取り上げられる秘訣、教えてください!

ビジコンで築いたつながりと締め切り効果が事業成長を後押し

鈴木
鈴木

ずばり、オーベルジュ藤本のPRにつながった施策はなんでしょうか?

中村さん
中村さん

一つは地域のビジコン(ビジネスコンテスト)への参加ですね。

2024年は「NEXTスタートアップえひめ」「今治スタートアップビジネスプランコンテスト」「いよぎんビジネスプランコンテスト」など、四国・愛媛のビジコンに参加して賞を獲得。さらに11月に行われる「四国アライアンス ビジネスプランコンテスト」にも挑戦する予定です。

鈴木
鈴木

すごい、2024年だけでもかなりハイペースで挑戦されていますね。

意欲的にビジコンに参加する理由は、やはりPRや認知拡大が目的なのでしょうか?

中村さん
中村さん

もちろん、それも理由の一つです。出場して賞を獲得できれば、主催者や後援者であるスタートアップ支援事業者の方や自治体の方はもちろんのこと、新聞などのメディアにビジコンの様子が取り上げられれば、地元の皆さんに知ってもらいやすくなります。

実際に、そういった関係者の方に顔を知っていただいてから、思わぬお声がけやサポートをいただいたりと、確実にビジネスのスピードが加速しました。

またビジコンに挑戦するもう一つの目的は、短期間でビジネスを一気に練り上げられるから

賞金や受賞歴そのものもモチベーションになりますし、「応募締め切り日」「ピッチ発表日」など締め切りが設定されているので、「そこに向けて事業計画をブラッシュアップしよう」という強い動機にもなります。

鈴木
鈴木

ビジコンのための準備時間そのものが、事業計画を見直すいい機会になっているんですね。でも正直、「やりたくないな〜」と思ったりしませんか……?

中村さん
中村さん

正直、今でも人前で話すのが得意ではないので「できることならやりたくない」という気持ちが芽生えることもあります(笑)。

ただ、ビジコンに参加することで得られる認知やリレーションの重要性を考えると、苦手だと言っていられない。なので最近は家族にピッチを聞いてもらったり、norosiプログラムの中のピッチ練習プログラム「tenka pitch」に挑戦したりしながらブラッシュアップを重ねています。

鈴木
鈴木

ストイックですね……! ちなみにビジコンの受賞をきっかけに、どんなPR効果が得られましたか?

中村さん
中村さん

まず直接的な効果でいうと「ビジネスコンテストで受賞した」という内容で、地元のマスメディア各社に取り上げていただきました。

思いがけないところだと、「NEXTスタートアップえひめ」の受賞後に愛媛県知事に受賞報告する機会があり、そのとき藤本と知事が意気投合したのがきっかけで、知事がパーソナリティを務めるラジオ番組で対談したこともありました。

NEXTスタートアップえひめ受賞報告の様子

中村さん
中村さん

また、同じく「NEXTスタートアップえひめ」をきっかけに伊予銀行さんともつながりができ、期間限定の間借りレストラン「虹吉」オープン時には地元メディアを多く呼んでいただきました。

実は、オープン準備中はプレスリリースなどに手が回っていなかったところ、ありがたいことに先方から「メディアさんには声をかけていますか?」と気にかけてくださり、多くの地元メディアに露出するきっかけをいただいたんです。

鈴木
鈴木

ビジコンがきっかけでできた人や会社とのつながりによって、結果的に露出獲得ができることもあるのですね。心温まるエピソードでほっこりしました!

ちなみに美食家向けのアプローチについてはどのように行なったのでしょうか?

中村さん
中村さん

こちらももう一つのPR施策、間借りレストラン「虹吉」のプロジェクトを通じて行った形です。もともと藤本や「虹吉」に参画するシェフが築いていたネットワークをきっかけに、美食業界のインフルエンサーの方やメディア関係者とのつながりを作ることができました。

鈴木
鈴木

なるほど、これまでメンバーが培ってきたキャリアや人との関係性も、PRという観点で一つの武器になるのですね。

想いと実績を一目で!挑戦の軌跡を発信するコーポレートサイト

鈴木
鈴木

オーベルジュ藤本のコーポレートサイトも、様々なステークホルダーとのコミュニケーションに役立っていると伺いました。まずはWebサイト立ち上げの経緯について教えていただけますか?

中村さん
中村さん

行政や銀行、出資者やメディア関係者など、ステークホルダーの方たちに対してしっかりミッションを追求している、信頼できる企業だと見ていただけるよう、コーポレートサイトが必要だと感じたのがきっかけです。

せっかくこれまで色々なビジコンに挑戦してきたので、その実績をまとめて掲載できるコーポレートサイトを作ることで、きちんとした想いを持って行動し続けていることを伝えられればと思いました。

鈴木
鈴木

制作はどのように進められたのでしょうか?

中村さん
中村さん

こちらは「studio」というノーコードのWeb制作ツールを使って私が制作しました。作業期間は丸3日ほどで、プログラムを書けない私でも比較的スムーズに取り組めましたよ。

スタートアップの立ち上げ期はこういったサイト制作にお金を割くのが難しいと思うので、お金も時間も節約しながらサイトを立ち上げることができたのは良かったです。

鈴木
鈴木

Webサイトを立ち上げたことで、具体的な反響はありましたか?

中村さん
中村さん

コーポレートサイトを通じてメディアからの問い合わせが増えました。過去にはラジオ番組の出演依頼や、藤本のメディア出演の依頼などもここから寄せられています。

鈴木
鈴木

きちんと目的通りの役割を果たしているんですね。ちなみに、イベント登壇やラジオ出演って緊張しませんか? うまく答えられるか不安になるときはあるのでしょうか。

中村さん
中村さん

やっぱりいつも緊張しますね。基本は「なんとかなる精神」と思って乗り切っていますが、一通り終わった後に「本当に大丈夫だったのか?」と不安になります(笑)。

ただ、今振り返ってみると、ビジコンのピッチ練習がイベントやラジオで役立っていると感じます。

限られた時間で自分のビジネスや想いを伝えるスキルは、ピッチでも登壇でも共通して重要なポイント。「ビジコンを通じて言葉を研ぎ澄ます経験」は、いろいろな場面で応用できるなと思います。

ピッチ練習はすればするほどお得! 挑戦を通じてチャンスをつかもう

鈴木
鈴木

これまでのお話を聞いて、行動を続ける中で生まれた人とのつながりがPR活動にも大きく影響しているのだなと思いました!

特にビジコンに挑戦し続けて、そこで出会った人とのつながりを大切にしていくというのは、どんなスタートアップでもイメージしやすいアクションですよね。

中村さん
中村さん

おっしゃる通りです。一般的にPRというと、プレスリリースやSNSなど、オンラインでの取り組みをイメージすることも多いですよね。

もちろんそういった取り組みも大切ですが、今までを振り返ってみると、私たちの場合はリアルな出会いが結果的に露出につながっていると思います。

そういう意味では、ビジコンやイベント参加など、ビジネスの可能性を広げられそうなものには臆せず挑戦するのがおすすめです。

鈴木
鈴木

賞金以外のビジコンに参加するメリットを知れてよかったです! ぜひ多くの起業家の方々にもビジコンに積極的に挑戦してほしいですね。

中村さん
中村さん

本当にそうですね。ビジコン、特にピッチに苦手意識がある方も多いかもしれませんが、ピッチの練習はやればやるだけ上達します。

何度かビジコンに参加した経験を振り返っても、ビジネスの内容にかかわらず「興味を持ってもらえる話し方」ができるかどうかで、最初の審査員や観客の姿勢は大きく変わってきます。そのスタートラインを引き寄せるのは訓練次第ですが、苦手意識から練習していない人も意外と多いんじゃないかなと。

逆に言えば、練習するだけで大きなアドバンテージが得られる「お得な」トレーニングだと思うので、ぜひnorosiのプログラムなどもうまく活用しながらチャレンジしてみて下さい!