未来を見据えない起業家に喝!【スタートアップに喝!】
これまで、数多くのスタートアップの成功・失敗を見てきたnorosi pressのコーディネーターたち。
そんな彼らから起業を目指す人へ、どうしても言いたい本音の「喝!」を紹介するコーナーです。
今回は、これまで数百のビジネスアイデアへ壁打ちをしてきたアドリブワークスの代表・山岡(スタートアップスタジオNOROSI運営企業)から、スタートアップへ渾身の「喝!」をお届けします。
山岡 健人
1986年今治市生まれ。早稲田大学卒業後、ITを軸としてキャリアを積む。地方での起業に可能性を感じ、2018年に株式会社アドリブワークスを創業。新しい働き方 へ挑戦する人々を共感で繋ぐコミュニティ triven(トリブン)を運営中。
未来を見据えない起業家が多すぎる!
私は、スタートアップを志す学生や社会人の皆さんと定期的に「アイディエーションミーティング」(毎月・第四火曜日の19時から開催中)を行っています。
その際に、いつも言っていることの一つに、これからビジネスに取り組む方は少なくとも10年後、20年後に「来る」であろうビジネスの種を見つけましょう、という言葉があります。
「来る」というのは、いろんな意味があります。
その頃、表面化するであろう問題への解決策であったり、
その頃、ユーザーが一気に増えるサービスであったり、
その頃、法規制が緩和される出来事であったり……。
例えば、trivenを考案したのは2017年頃でしたが、当時はコロナウィルスが世界に猛威を振るう前。
リモートワークも今ほど浸透していない世の中でしたが、数少ないながらも和歌山市や日本航空社が積極的にワーケーションへ取り組んでいたり、働き方改革や週休3日制の議論が少しずつなされていたりしていた時期に、人々の働き方が大きく変化していく未来を見据えていました。
きっと10年後頃には会社からミッションが与えられ、給与を得る「サラリー型」の働き方から、各個人が自分の取り組むべきミッションを見つけ、会社を超えて働く「プロジェクト型」の働き方になっているだろうと。
そのときに「あなたは何をやってきたの?」という問いに自信を持って答えられる人を増やしたい。
そんな思いで、自らのビジネスプランを気軽に世の中に投稿できるサイト「triven」を開発した背景があります。
コロナ禍を経て、10年が5年に縮まった
そんなこんなで、未来に向けて起業準備を進めていた矢先に、先述の新型コロナウィルスが世界中を襲い始めました。
あっという間にZOOMが利用され、出張はもちろん出社もなくなり、リモートワークが当たり前になり、働き方は急速に変化。
かつて自分が「10年後にはそうなっているだろう」と思っていた世界が、今や目前にまで迫っています。
そうなってしまうと、もう焦るしかありません。ゆっくり時間をかけてユーザーを増やす余裕もなく、システム開発も突貫で行う必要が出てきます。
そうすると開発費も余計にかかってしまう。「3年位かけていいから、ゆっくり一緒に良いサービス作ろうぜ」というのと「申し訳ないけど3か月後にリリースする必要があるから急いで!」だと、大きな違いがあるのは皆さんもお分かりですよね。
遠い未来にボールを投げていたつもりでも、社会情勢や突発的な出来事で、世界は大きく変わってしまうのです。
そもそも、なんで焦るのか?
考えてみてください。
今、世界中の人が困っていて、それを解決できるサービスをあなたが思いついたとき。
それが本当に有効で、多くの人がお金を払ってでもそのサービスを使いたいと思うなら、それは、もはや「スタートアップがやるべきこと」ではなくなってしまっているかもしれません。
なぜなら、もっと大きな資本を持った大企業が、あっという間にコストを掛けてそのサービスを作ってしまうからです。
ビジネスプランの壁打ちをしているときにも、よく話題にあがります。
「それって、あなたがやる必要ある?大手がやるんじゃないの?そっちのほうが早く解決するんじゃないの?」と。
そんなとき、起業家は言います。
「いえ!この課題に気づいていても、大手は動きが悪くて…大手はやる気ある人が居なくて…」
そんなときこそ『喝!』です!
大手にはできない? それはあなたの”願望”です。本当にビジネスになるなら、必ずどこかの企業が参入してきます。
せっかく一生懸命、小さな創業資金をかき集めて、仲間を少しずつ増やして、サービスをやっと完成させたと思ったら、もっと良い上位互換のサービスを大手がリリース…なんてなってしまったら、目も当てられません。
スタートアップは、スタートアップでいられる時期があると思っています。
それは、誰に話をしても「いやいや、それは無理だよ」「非現実的だよ」「儲からないよ」と言われている間です。
ピッチをして、多くの人から称賛されたら、それは焦るべきアラート。
一方で、賞を逃したり審査に落ちている間は、「しめしめ」と思って、ひたすらにビジネスプランを磨くことができるゴールデンタイムです。
なぜなら、そのビジネスプランの価値は、あなたしか気づいていないということなのだから。