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SUインタビュー

【オツカレー・栗山依子】お祝い返し不要!疲れ吹き飛ぶ絶品スパイスカレーを育児中の方に届けたい!

アドリブワークスでは、シード期”未満”に特化したスタートアップスタジオ「NOROSI」を運営しています。今回は、NOROSIに参加しているチャレンジャーのストーリーをご紹介します!

プロフィール

栗山依子

和歌山出身。学生時代は長崎で過ごし、東京・大阪で広告業界に約12年、営業&プロデューサーとして主にコンビニ業界の商品開発、店頭販売促進に従事。出産・育児休暇中は愛媛で農業大学校に通い、伯方島で無農薬ライム栽培や、今治産の食材を使った無添加補給食の開発、愛媛県老舗和菓子屋「薄墨羊羹」さんの乳幼児向け和菓子「おやおやようかん」のブランド開発を担当。松山ブランド新製品nextone【金賞】松山市長賞を受賞。

trivenプロジェクト▶︎産後・育児中でお疲れのママのために作ったスパイスカレーを広めたい!
▶︎Instagram:@try_otsucurry
▶︎ECサイト:otsucurry store

産後の不調がきっかけで生まれた、お返し不要、「お疲れ」ママのためのスパイスカレー

ーー栗山さんが「オツカレー」を開発したきっかけを教えていただけますか?

栗山さん産後、満身創痍のママ友たち向けに、体調を気遣い、お祝いの返しを考える必要がない気を使わないプレゼントを作れないか? と思ったのがきっかけです。

実は私自身も、出産をきっかけに心身のバランスを崩しました。3~4時間置きの授乳で慢性的な睡眠不足になったり、ホルモンバランスの影響で精神的に不安定になったりもしました。また産休・育休を経て復職してからも子育ての心配から、以前の職種で働くことを躊躇し、その後も迷走しました。

元来仕事人間で、就職してから今まで全力で働いてきたからこそ、出産後思うように働けないことにフラストレーションを抱え、4年が経った頃、子供から「ママ、顔が笑ってないよ」と言われることもありました。

ーー大変な時期があったのですね。どうやって立ち直ったのでしょうか?

栗山さん:たまたま学生時代の後輩で、福岡県でスパイスカレー店を営む入部君(管理栄養士のシェフ)に話すと、「きっと栄養が足りてないんですよ」と言われて。そこから食べ物の栄養そのものに興味が湧き始め、会話の最後にはスパイスカレーを商品化しよう!という話になりました。

そしていてもたってもいられず福岡に向かい、入部君のスパイスカレーを食べて元気を取り戻しました。 スパイスの力でじんわりと身体があたたまり、眠っていた細胞が目覚めるようなあの感覚は、今でも忘れられないです。

ーーそれがきっかけで、普段口にする食べ物が健康につながることを実感されたんですね。入部さんについてもご紹介をお願いします。

栗山さん:入部君は福岡県にある「アフターグロウ」というカレー店のオーナーシェフで、オツカレーのレシピ開発で協力してくれました。アフターグロウはミシュランガイド福岡のビブグルマンにも選出されたことがあるお店。そんな彼が考えてくれたカレーもぜひ食べてみてほしいです。

和歌山のジビエと鶏肉を使用した、こだわりの一缶

ーー現在オツカレーでは「猪肉ジンジャーカレー」と「バターチキンカレー」、2つのカレーを発売しています。それぞれのこだわりを教えてください。

栗山さん:添加物をほぼ使いたくなかったため、加熱殺菌ができる缶詰製造にしています。栄養面も大事にしながら、何よりも、もう一度食べたくなるおいしさを追及しました。

猪肉ジンジャーカレーの方は「和歌山ジビエ」というブランドの、希少な猪のブロック肉を使っており、口の中でトロトロに溶けていきます。

さらに猪肉は豚肉と比較してタンパク質が豊富。鉄分は約4倍、ビタミンB12は約3倍と、しっかり栄養が詰まっている優秀なお肉なんです。少し甘さを感じるカレーなのですが、食べているうちに複雑なスパイスの香りが口いっぱいに広がって、しょうがのパワーでしっかり身体があたたまりますよ。

ーー猪肉を使ったカレーは珍しいですね! ゴロッとお肉が入っていて、食べごたえがありそうです。どうして猪肉を使おうと思ったのでしょうか?

栗山さん:愛媛県で猪肉を食べたとき、今までイメージしていた獣臭くて硬そうな感じが全くなく、すごくおいしかったのでいつか猪肉を使った商品を開発したいと思ったのがきっかけです。愛媛や和歌山などの柑橘類の栽培が盛んな地域では、猪は柑橘を食べて育つので肉の味が良くなるそうです。

地元である和歌山は、獣害による農作物の被害が全国的にみても深刻な地域。ジビエを使ったカレーを販売することで、少しでも多くの方に獣害問題に興味を持ってもらうきっかけが作れればと思っています。

ーージビエを加工食品にして販売すること自体も、非常にハードルの高い取り組みだと伺いました。

栗山さん:そうなんです。家畜として大量に飼育される豚や鶏と違って、野生の猪・鹿は一匹ずつ「捕獲」「内臓の処理」「解体」をする必要があり、非常に手間がかかります。

そのため安定確保が難しく、量販ができないのです。なかなか扱いが難しいお肉ですが、「それでもこのお肉のおいしさには代えられない!」と思いながら使っています。

ーーものすごくこだわりが詰まっているのですね……! バターチキンカレーの方には、どんな特徴があるのでしょうか?

栗山さん:バターチキンカレーの鶏肉は、みかんの皮から作られた「陳皮」を飼料として与えた「紀の国みかんどり」を使っています。生薬や漢方としても使われる陳皮には、血行をよくするリモネン抗酸化作用のあるポリフェノールが豊富に含まれ、旨みも凝縮されています。

また、飼料期間が通常より長いお肉のため、歯ごたえのある肉質に育つんです。そんな紀の国みかんどりを使ったバターチキンカレーの味は程よくスパイシー。ほろほろの鶏にトマトの酸味と乳製品のコクが合わさって、一度食べたら癖になりますよ。

プレゼントの選択肢をもっとバラエティ豊かなものにしたい

ーー栗山さんは広告代理店で働かれた後、現在はtriven・スタートアップスタジオNOROSIのコーディネーターとしても活躍されています。様々なビジネスの伴走支援を行ってきた栗山さんですが、自分自身のビジネスを立ち上げた率直なお気持ちはいかがですか?

栗山さん:実際に自分がビジネスのオーナーになってみて、「誰の責任にもできない、なんでも自分で決断しなければいけない」しんどさはあります。

無限に選択肢がある中で自分が信じる方向を見定めることは非常に難しく、「ターゲットやコンセプトはこの方向性でいいんだっけ?価格はこれでいいのか?」など、迷ったりすることも多いです。

今までの伴走支援の仕事の中でたくさん提案をしてきましたが、最終的な決断はクライアントに委ねていたため、決断することの難しさを改めて感じています。

だからこそ、今後支援する側に回ったときには、ビジネスオーナーの気持ちをより理解できるかなと思います。

ーー栗山さんにとって、「決断する」ということが一つのチャレンジなのですね。今後のプロジェクトの展望も聞かせてください。

栗山さん:今のところオツカレーのラインナップは「猪肉ジンジャーカレー」と「バターチキンカレー」の2種類だけですが、今後はもっとバリエーションを増やしていきたいと思っています。また今後はカレーに限らず、お返し不要のちょっと気の利いた出産祝いやプレゼントをどんどん開発していきたいです。

ーーオツカレーのパッケージもバッグもかわいく、プレゼントとしても良さそうですね。「ちょっと気の利いたプレゼント」として、今後どんなものを作っていきたいですか?

栗山さん:手土産だったらデパ地下のお菓子が多いですが、歳を重ねると砂糖の量や添加物が気になるときもあったりします。

もちろん、お相手が自分のことを考えてくださったものなので、プレゼントは何でもとても嬉しいのですが、「かゆいところに手が届く」プレゼントがまだまだ少ないなと思っています。

有形無形問わず、贈るときに、相手のことを思いやった理由を添えられるような、そんなプレゼントの選択肢を増やす。そうすることで、お土産を渡すシーンをもっとバラエティ豊かなものにできると嬉しいです。

今回のオツカレーで言うと、本格的なスパイスカレー屋さんになかなかいけないママに「子供が寝た後に、自分のために食べてね」という気持ちも一緒に伝えることができたら、すごく素敵なことだなと思っています。

スローペースでも良いから、挑戦することを諦めないで

ーー最後に、これから起業を目指す方へメッセージをお願いします!

栗山さん:自分の周りには、出産や介護といったライフイベントがきっかけで自分のキャリアを諦めたり、新しいことに挑戦できなかったりする人が多くいます。でもせっかくやりたいことがあるのに、挑戦することを諦めてしまうのはすごくもったいないと思うんです。

私自身も仕事・育児をしながらモヤモヤ考え続け覚悟が持てずに遠回りしていましたが、NOROSIのメンバーに背中を押してもらうことで販売まで辿り着くことができました。

「何かやりたい」という思いがある人はスローペースでも良いので、まず人に話すという1歩目を踏み出し、そこからしか見えない世界を楽しんでほしいです。産後、育児中の方だけに限らず、疲れたら、ぜひオツカレーを食べてください〜!

内容は取材当時のものです。現在のサービス名・事業内容・活動状況は同プロジェクトのホームページ・SNSなどをご参照ください。

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