【コーディネーター紹介:山岡健人】自分が生まれてきた意味を実感しながら働く人を増やしたい
アイデア段階から挑戦できるスタートアップスタジオ「norosi(ノロシ)」では、ビジネス立ち上げの経験が豊富なメンバーがコーディネーターを勤め、それぞれの経験を活かしながらアイデアの事業化をサポートしています。
ここでは、norosiに所属するコーディネーターにインタビュー。今回は代表を務める山岡に、これまでのキャリアや起業家支援に込めた想いを聞きました。
プロフィール
山岡 健人
愛媛県今治市出身。早稲田大学卒業後、IT業界を中心にキャリアを積み、アクセンチュア(株)では日本最大規模のJV立ち上げ等のコンサルティング業務を担当。2018年より(株)アドリブワークスを創業。150万人もの起業志望者のうち事業化を実現しているのはたったの10%であることに着目し、誰もが想いをカタチにできる世の中を目指して、生成AIビジネスプランジェネレーター「triven Ai」起業家のための支援者マッチングサービス「triven」、官民連携スタートアップスタジオ「norosi」を運営。神戸市や日本航空をはじめ多くの自治体や企業への導入を進める傍ら、その中で集積されるゼロ→イチの知見を活用し、これから一歩を踏み出そうとする挑戦者の支援を行っている。
この記事の目次
これまでのキャリアを教えて!
山岡:IT系webメディアの広告営業、コンピューター関連の有形商材の営業、Web制作会社のプロデューサー、経営コンサルタントと、IT業界を中心に4社で経験を積んできました。もともと30歳までに起業したいという目標があったので、2〜3年ごとに転職してキャリアを広げてきたんです。
そのアドリブワークスを創業、ワーケーション関連ビジネスの立ち上げを経て、現在はアイデア段階のビジネスから挑戦できるスタートアップスタジオ「norosi(ノロシ)」を運営しています。
起業に挑戦したいと考え始めたのはいつ?
山岡:学生時代から「自分は何をしたい人間なんだろう」とぼんやり考えつつも、具体的な起業の目標はなかったんです。
本格的に起業を意識したのは、就職活動を通じて「一つの会社に長くいること」に違和感を覚えたのがきっかけ。
自分は愛媛出身で、地元や家族を大切にしたいという思いもある。でも大学をきっかけに上京してみると、東京や海外には色々なチャンスが転がっていて、そこにいれば自分の可能性を大きく広げていくこともできる気がしている。
そんな迷いもある中で、就職活動の期間中に「自分はこの世界で生きていこう」と可能性を狭めなければいけない構造自体が変だなと。
そのときに起業や独立が自然な選択肢として見えてきました。
独立も検討する中で、会社を設立した決め手は?
山岡:実は、最初は会社を作る必要性をそれほど感じておらず、コンサルをやめた後しばらくはフリーランスとして働いていました。
ただ、これまで自分が悩んできたことを振り返ると、周囲の人たちも同じことに悩んでいると感じたんです。今やっている仕事に対して違和感を持っていたり、遠く離れた地元や家族との関わり方に迷っていたり……。
そう思ったときに、自分一人が独立してそこから自由になるだけではなく、周りの人たちもどうにかしたいと思い始めた。
そのためには、フリーランスではなく会社を作って、事業を通じて多くの人を巻き込んでいこうと思いました。
「場所を選ばず働ける人を増やしたい」からビジネスを始めた、ということ?
山岡:うーん、単にロケーションの話だけではないとも思う。「仕事を優先して、働く場所を犠牲にする」というのも違うけど、「働く場所を優先して、仕事の内容は二の次」というのも違う。
どうせ仕事をするなら、自分が生まれてきた意味を実感できる仕事の方がよいはずです。
単に「会社組織の一員として」ではなく、自分のライフワークとして、自分が生まれ育ったまちや日本、そして社会でどんな役割を果たしていきたいかが明確にわかっている人を一人でも増やしたいと思って起業しました。
norosiの特徴を教えて!
山岡:norosiの最大の特徴は「アイデア段階からの支援」にあります。
様々なアクセラレーションプログラムと比較してみても、この段階からの支援を本当の意味で行っているものは他にはないという自負があります。
多くのプログラムが出資や自治体からの受託、大企業とのオープンイノベーションを目的に運営されているので、すでにビジネスとして成立しているスタートアップにスポットライトが当たりやすい構造になっています。
でもこれが行き過ぎると「これから起業しようとしている人たち」に目を向けることがなかなか難しくなってしまう。だからこそnorosiの活動には意味があると思っています。
あえて「スタートアップになる前段階のスタートアップ」を支援している?
山岡:「アイデア段階のスタートアップであること」に主眼を置いているというよりは、「結果的にスタートアップになる、熱い想いを持つ人」たちを支援しているという方が近いかもしれません。
norosiでは先ほど話したような「自分が生まれてきた意味を実感できる仕事」、つまり個人が持つ情熱や好奇心、怒り、嫉妬心といった感情を原動力にして立ち上がるビジネスを支援をしています。
こうした「個人の自己実現」を応援する中で、自然発生的に卓越したビジネスが生まれ、多くの仲間や支援者が集まっていき、結果的にそれがスタートアップになる。
外から「スタートアップとして成長しろ」と圧力をかけるよりも、こうしたマインドでビジネスに没頭する人を増やす方が、スタートアップを生み出す土壌を生み出すという点でも再現性が高いはずです。
norosiを通じてどんな社会を実現したい?
山岡:個人が持つ情熱やスキルを最大限に活かし、企業や組織の枠にとらわれずに自分自身のビジネスを作り上げる社会です。
例えば時代を遡ると、江戸時代には一人ひとりが自分の屋号を持って、商いをやっていた。自分のスキルやリソースを活かして生業を営むのが当たり前で、その中でイノベーションが起きていたんです。
「就職して一つの会社で働き続ける」という高度経済成長期のキャリア観が浸透したのは、せいぜいここ7~80年くらいの話なんですよね。
しかし終身雇用制の終焉やAIの台頭もあり、ホワイトカラーの仕事のあり方はどんどん変わっていくでしょう。個人も会社も変わらざるをえない状況で、「1人ひとりが自分の会社を1社持つ」というのが当たり前の社会になると思います。
ビジネスを通じて自己実現する人を増やすことは、経済の活性化や生産性向上にもつながる?
山岡:そう思います。少し話が外れますが、今の日本はいわば「スタートアップブーム」の状況で、スタートアップやその支援者にどんどんお金が入ってきている。
でもこのブームが終焉した先に、一体何が残るのかというのは、スタートアップ支援に携わる者として意識すべきだと考えています。
そう考えたときに「スタートアップを生み出す」というのはあくまでも結果論で、本来は「日本の国際競争力を高めるために何をするべきか」についてもっと議論しなければいけないんですよね。
それに対する個人的な答えは2つあって、1つは「何のために働いているんだろう」と思いながら会社に留まり続ける人を減らし、「これがやりたい」と思える仕事に就いている人を増やす。当然ながらそっちの方が生産性は高まりますよね。
またもう1つの鍵は「産業構造の多様化」。様々な課題や切り口、思わぬ技術を活用したサービスが日々生まれ続ければ、日本の産業構造自体もしなやかで強いものになっていくはずです。
AIの台頭やグローバル化など抗えない社会の変化が起こったとしても、それを受け入れて「どんなビジネスをしていこう」と考えられる社会こそが強い社会なのだと思います。
norosiメンバーに聞く、山岡さんってこんな人
常に広い視野で世界を捉えている人。色々なビジネスに精通しているからこそ、どんな新しいアイデアに対してもフラットに受け止め、事業の可能性を広げるフィードバックをくれますよ!
アイデアマンでロジカルシンキングのスキルも高く、事業の仕組みの壁打ちをするときに大きな力になってくれるはず。起業家に対しても社内のメンバーに対してもリスペクトを持って接してくれるので、安心してビジネスの相談ができます。
あるべき未来を描く力と、その達成に向けて人を巻き込むリーダーシップがすごい! 自らも起業を経験して、様々な試行錯誤を経ているからこそ、描く未来にきちんとした説得力があります。
色々な領域へ広くアンテナを張っているイメージ。ビジネスアイデアのフィードバックが的確なのはもちろんのこと、アイデアを発想した人自身も気づいていなかった視点を与えてくれます!