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市場調査とは? マーケティングリサーチとの違いや主な手法を解説

市場調査とは、企業が市場の現状を把握し、新商品やサービスの開発、マーケティング戦略の策定に役立つ情報を収集・分析するプロセスです。

本記事では今回は100名以上のスタートアップ立ち上げ支援を行ってきたスタートアップスタジオ「norosi(ノロシ)」の知見をもとに、市場調査と混同されやすいマーケティングリサーチとの違いや、定量調査、定性調査、統計データ調査、覆面調査などの市場調査手法、市場調査を成功させるポイントを解説します。

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市場調査とは


市場調査(マーケットリサーチ)とは、企業が新たな事業を開始したり、既存の事業を成長させたりするために、顧客のニーズや競合状況、価格動向、広告の効果などの市場情報を収集し分析する活動です。

市場調査の結果は、マーケティング戦略や商品開発の方向性を決めるための重要な指針となります。

新しい製品を開発する際には、市場調査を行い消費者がどのようなニーズを持っているか把握することで、商品の特性や価格設定、広告戦略を適切に策定できます。

市場調査の具体例

例えば、飲料水メーカーが市場調査を実施する際には、以下のような項目が調査対象となります。

1.市場規模:一年あたりの購入金額や消費量。季節や時間帯による消費量の変動など
2.嗜好やライフスタイル: 健康志向やブランドイメージなど、何を重視して購入しているか
3.競合: 市場における競合メーカー(競合他社)の数と、各メーカー(競合他社)の市場占有率
4.流通チャネル:どんなチャネル(オンライン、オフライン)で商品を購入するか

今後norosi pressでは、競合調査のやり方についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

このように、具体的なデータを収集し分析することで、企業は市場の動向を正確に把握し、競争力のある製品を開発し、適切な価格で販売できるようになります。

市場調査を行うメリット


ここでは市場調査を行うメリットを解説します。

顧客理解につながる

市場調査をすることで、顧客が何を求めているのか、そのニーズを深く理解できます。

市場調査で得られたデータからターゲットの嗜好や課題、行動パターンを理解し、それにマッチした商品やサービスを開発したり、マーケティングの打ち出しの方向性を修正したりすることで、結果的に高い顧客満足度を得ることができます。

反対に市場調査を怠ると、顧客のニーズを誤解し、需要のない商品を開発してしまう恐れがあります。

そうなると開発やマーケティングにかけたコストを回収できない上に、有形商品であれば在庫の山を抱えるといった事態に陥る可能性があります。

このようなリスクを避けるためにも、市場調査は欠かせないプロセスです。

今後norosi pressでは、ターゲティングについてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

事業開発のリスクを低減できる

市場調査を通じて得られたデータを精査すると、事業開発の初期段階で潜在的な問題点を発見できることもあります。

例えば、あるサービスの価格設定について市場調査を行い、消費者がどの価格帯の商品の購入頻度が高いかを把握することで、価格設定やかけるべきコストを検討できます。

また、市場調査を行う中で、競合他社が同じような商品を販売しており、もうすでに大きなシェアを獲得していることが判明することも。

そうした場合は、価格競争に巻き込まれないために差別化の方向性を考えたり、ターゲットを大きく変更したりといった大幅な路線変更をすべきでしょう。

このように、事業開発の初期の段階で重要な情報を得ることで、失敗のリスクを大幅に低減できます。

投資家や経営層への説得材料になる

市場調査の結果は、投資家や経営層に対する説得材料としても有用です。

具体的なデータと分析結果を基に事業計画を説明することで、投資家や経営陣に対してプロジェクトの信頼性や将来性を示すことができます。

例えば新規事業に対する投資を求める際に、市場調査の結果を提示することで、その事業がどれだけの市場規模を持ち、どの程度の収益が期待できるかを明確に伝えることができます。

市場調査を行わず、説得力のあるデータを欠いたプレゼンテーションでは、投資家や経営層からの信頼を得ることが難しくなります。

特に大規模な投資を必要とするプロジェクトほど、具体的な市場データがないと計画が漠然としたものになり、資金調達に失敗するリスクが高まるでしょう。

市場調査の主な手法


ここでは市場調査の主な手法を解説します。自社がほしい情報に合わせて適切な調査手法を選びましょう。

定量調査(アンケート調査)

定量調査(アンケート調査)は、商品やサービスのターゲットとなる人たちに対して対面や郵送、Webなどの手法を用いてアンケートを行い、数値データを収集する手法です。

特にインターネットによるオンラインアンケートは多くのサンプルをスピーディーかつ低コストで集めることができるため、多くの会社が取り組んでいます。

定量調査のメリットは、多数の回答を短期間で収集することで、統計的な分析を行える点です。

また広範な年齢層・地域にわたるデータを集めることで、市場全体のトレンドを把握するのにも役立ちます。

一方、自分の知り合いにアンケートを依頼したり、SNSを介してアンケート回答をお願いする場合は、回答者の属性に偏りが生まれてしまい、正しい市場のインサイトを得るのが難しい場合もあります。

アンケートの質問が誘導的なものであったり、回答者が直感的に答えにくい質問だったりなど、質問の設計方法によっては回答の信頼性が問題となることもあります。

より深い洞察を得るには、他の手法と併用する必要があるかもしれません。

今後norosi pressでは、アンケート調査の手法についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

定性調査(インタビュー調査)

定性調査(インタビュー調査)は、個人やグループにインタビューを行い、消費者の潜在的なニーズを掘り下げる手法です。

数値では表現できない個人の体験や意見を詳細に聞くことができるほか、相手の反応に応じて深掘りすることで質問者が想定していないアイデアやニーズなどを知ることが可能です。

やり方として、特定の課題や属性を持つ人たちを集めて4~6人のグループインタビューを実施したり、1対1で行う個別インタビューをしたりする場合もあります。

定性調査のメリットは、消費者の深層心理や行動の背後にある動機を理解できる点にあります。

一方、デメリットとして、影響力のある参加者が他の参加者の意見に影響を与える可能性がある点に注意が必要です。

また、データの収集と分析には時間がかかるため、大規模な人数の調査には向いていません。

今後norosi pressでは、インタビュー調査の手法についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

統計データ調査(オープンデータ調査)

統計データ調査(オープンデータ調査)は、政府や教育機関、その他の公的機関が提供するオープンデータを利用する手法です。

インターネット上で公開されているデータを活用できるため、企業や一個人では独自に調査が難しい大規模なデータを得るのに非常に有効です。

例えば、業界全体の市場規模や消費者の購買傾向など、広範な情報を必要とする場合には統計データ調査を行うと良いでしょう。

統計データ調査のメリットは、質の高い情報を迅速に得られ、調査コストがあまりかからない点です。

一方既存のデータに依存するため、特定のニーズに合わせた情報を得るのが難しいというデメリットもあります。

またデータが最新でない場合もあるので、適切な判断を下すためには、他の調査手法と組み合わせることが肝要です。

今後norosi pressでは、市場規模の調べ方についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

覆面調査(ミステリーショッパー)

覆面調査(ミステリーショッパー)は、調査員が一般の顧客を装い、商品やサービスを実際に体験して評価する手法です。

もうすでに多店舗展開をしている企業が、自社のサービス提供の現場での実態を把握するために用いられます。

ここでは調査対象者である店舗で働く店員が調査されていることを知らないため、リアルな顧客体験をそのまま観察することができます。

この手法のメリットは、現場の実態を正確に把握できる点です。例えば、顧客サービスの質や店舗の清潔さなど、具体的な改善点を見つけるのに役立ちます。

しかし実施にコストがかかり、調査員の主観が結果に影響する可能性があります。また、調査員の教育や訓練も重要で、適切に実施されなければ信頼性の高いデータを得ることが難しくなります。

市場調査と混同されがちなマーケティングリサーチとは


市場調査は「マーケットリサーチ」とも呼ばれますが、消費者の行動や購買動向を深く探る「マーケティングリサーチ」としばしば混同されることがあります。

ここではマーケティングリサーチの概要と、市場調査とマーケティングリサーチの違いを解説します。

マーケティングリサーチの定義

マーケティングリサーチとは、主に消費者の行動や購買動向を深く理解するために行われる情報収集活動です。

市場動向が悪化した際の対策を講じるためや、既存の商品やサービスの売上を拡大するために役立ちます。

マーケティングリサーチを通じて、企業は消費者の潜在的なニーズや購買意欲を把握し、効果的なマーケティング戦略を策定できます。

マーケティングリサーチの例として、消費者の購買パターンやブランドへのロイヤリティ、広告の効果などの調査があります。

これらのデータを基にマーケティング戦略を最適化することで、マーケティングの効果を最大化できます。

市場調査とマーケティングリサーチの違い

市場調査とマーケティングリサーチは、どちらも情報を収集し分析する活動ですが、市場調査は主に過去から現在のデータ、マーケティングリサーチは現在から未来のデータを収集しており、調査の方向性が異なるという違いがあります。

市場調査は、新しい商品やサービスの開発を目的として、現在の市場状況を把握するために行われます。例えば、新製品の市場投入前に、競合製品の価格や特徴、消費者のニーズなど、主に過去から現在のデータを収集し分析します。

これに対してマーケティングリサーチは、商品やサービスの売上拡大を目指し、未来の市場の動きを予測するために実施されます。

例えば既存製品の売上が伸び悩んでいる場合に、消費者の嗜好変化や競合の動向を分析し、消費者の購買行動の変化や市場トレンドの予測を行います。

マーケティングリサーチの主な手法


ここではマーケティングリサーチの手法を解説します。

製品テスト

製品テストは、ターゲットに新製品または既存の製品を実際に使用してもらい、その評価を収集する手法です。

試用期間を設けて製品を継続使用してもらい、その後にアンケートやインタビューを通じてフィードバックを集めます。

新製品の市場投入前に少人数のターゲットに試してもらうことによって、その製品が消費者にどのように受け入れられるかを評価できます。

製品テストのメリットは、実際の使用感や消費者の率直な意見を直接得られるため、製品の改善点を具体的に把握できる点です。

有形商品だけではなく、Webサービスやアプリの場合でも、UIの使用感や機能の改善点などを知ることができます。

一方、テスト期間中に競合他社に情報が漏れるリスクや、テストサンプルが市場を代表するような人でない場合に結果が偏る可能性がある点がデメリットです。

事前事後調査

事前事後調査は、広告やキャンペーンなどのプロモーションの効果を測定するために、実施前後で認知度やブランドイメージなどの変化を比較する手法です。

プロモーション前に基礎データを収集し、プロモーション後に再度調査を行い、変化を分析します。新しい広告キャンペーンの効果を測る際に用いられる手法です。

事前事後調査のメリットは、プロモーションの具体的な効果を数字で示すことができ、次回のプロモーション戦略に役立てられる点です。

また製品テストと組み合わせることで、製品使用前後の購買意欲の変化も確認できます。

テスト・マーケティング

テスト・マーケティングは、新製品を実際に市場に少数投入して、その売上や顧客反応を観察する手法です。

通常は中規模都市で実施し、全国的に展開をする前に製品の売れ行きやパフォーマンスをテストします。テスト・マーケティングでは販売データの収集だけでなく、事前の宣伝効果や販促イベントの反応も測定できます。

テスト・マーケティングのメリットは、実際の市場で消費者の反応を直接観察できる点です。本格的に製品やサービスを展開する前に、製品やマーケティング戦略の改善点を明確化できます。

一方デメリットとして、テストマーケティングにかかるコストや時間が膨大であり、失敗した場合のリスクも高い点があります。また、テストマーケティングの結果が他の地域でそのまま適用できるとは限らないため、慎重な分析が必要です。

今後norosi pressでは、テスト・マーケティングのやり方についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

またテストマーケティングと似た概念にPoC(Proof of Concept:概念実証)があります。
テストマーケティングは想定するユーザーのニーズに合ってるかどうかを検証するものなのに対し、PoCはそもそもこの商品・サービスが実現可能かどうかを検証するという違いがあります。

今後norosi pressでは、PoC(概念実証)についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

MVP(Minimum Viable Product)開発

MVP(Minimum Viable Product)開発とは、必要最小限の機能だけを備えたプロダクトを市場に出し、顧客のフィードバックを元に改善を繰り返す手法です。

初期段階での大規模な投資を避け、実際の市場の反応を見ながら段階的に製品を完成させることで、手戻りや軌道修正のコストを抑えます。

MVP開発のメリットは、リリース前に市場のフィードバックを得ることで、製品の方向性を柔軟に修正できる点です。

例えば、新しいアプリケーションをMVPとしてリリースし、ユーザーからのフィードバックを元に機能を追加・修正することで、より市場に適したものに進化させることができます。

一方デメリットとして、初期段階の製品が十分に機能しない場合、ユーザーの信頼を失うリスクがあります。また頻繁な変更や修正が必要なため、開発リソースが圧迫される可能性もあります。

今後norosi pressでは、MVP開発についてもまとめたいと思いますのでしばらくお待ちください。

市場調査の基本的な手順


ここでは市場調査の基本的な手順について、アンケート調査を例に考え方を紹介します。

調査の明確化

まずは何を知りたいのか、どのような情報が必要なのかなど、調査目的を具体的に定めます。

例えば、新製品の市場ニーズを把握するための調査では、消費者の好みや購買意欲を明確にすることが目的となります。

この段階で調査の対象や範囲、期待する結果を明確にすることで、調査の対象者やどんな手法を使えばいいかが固まります。

ここで調査目的を曖昧にしてしまうと、分析や意思決定のタイミングで活用できないデータになる可能性があるので注意しましょう。

調査設計

調査目的が明確になったら、調査方法やサンプルサイズ、質問内容といった調査設計を行います。

例えばアンケート調査を実施する場合、質問項目を具体的に設定し、アンケート対象となるターゲット層を決め、ターゲットを集める方法を検討します。

調査設計が不十分だと、収集したデータが偏りやすく、信頼性が低下する恐れがあります。

例えば質問項目を作った後に社内のメンバーにテストでアンケートに回答してもらい、回答をするのは苦ではなかったか、質問内容に不備はないかなどをチェックしてもらいましょう。

調査の実施

調査設計が完了したら、実際に調査を実施します。

調査の段階で重要なのは、回答率を高めるための工夫です。例えば、少額のギフトを送るなどのインセンティブを提供すると、より多くのデータを集めることができます。

また調査の最中にも収集したデータをチェックし、問題なくデータが収集できているかを確認しましょう。

分析・検証

収集したデータを分析し、統計分析やデータの可視化を通じて、消費者の傾向やニーズを明らかにします。

例えばアンケート調査の場合、回答の収集後にクロス集計や回帰分析などの手法を用いてデータを検証するのが一般的です。

ここで分析が不十分だと、誤った結論を導き出すリスクがあります。他の調査とも組み合わせながら、偏った結論に飛びつかないよう慎重に判断しましょう。

意思決定・アクション

分析結果を元に、マーケティング戦略や新製品開発の方向性など、具体的な意思決定を行います。この段階での迅速な意思決定が、競争優位を確保する鍵です。

市場調査やマーケティングリサーチを効果的に行うポイント


ここでは市場調査やマーケティングリサーチを効果的に行うポイントを解説します。

調査の目的を明確にする

市場調査を成功させるために最も重要なのは、調査の目的を明確にすることです。

調査を行う際には「何のためにこの調査を行うのか」を具体的に定義し、その目的に基づいて必要な情報を収集することが重要です。

目的が不明確なまま調査を進めると、収集したデータが散漫になり、分析結果が有効に活用できないリスクがあります。

具体的な目標を設定することで、調査の方向性が明確になり、データの収集・分析の精度が向上します。

また、目的が明確であれば、調査に必要なリソースや予算の配分も適切に行うことができ、無駄なコストが削減できます。

調査する前に仮説を立てる

市場調査を行う際には、事前に仮説を立てることが重要です。仮説を立てることで、調査の目的や方向性がさらに明確になり、効率的なデータ収集が可能になります。

例えば「残業時間が多い人のコンビニ利用率は高い」という仮説を立てると、その仮説を検証するための具体的な質問や調査方法を設定できます。

仮説を立てることで、調査の焦点が絞られ、重要なデータを抜け漏れなく収集できます。さらに仮説があることで、調査結果の分析や解釈がしやすくなり、得られたデータから具体的なアクションプランを立てやすくなります。

仮説を立てる際には、現状の市場データや過去の調査結果を参考に、具体的で現実的な仮説を設定することが重要です。

かかるコスト・時間を考慮する

市場調査を実施する際には、コストや時間を十分に考慮しましょう。調査には人件費や調査ツールのコスト、データ分析の費用がかかります。また調査期間も計画的に設定する必要があります。

予算オーバーやスケジュールの遅延を防ぐためにも、事前にどれくらいのコストと時間が必要かを明確にし、それに基づいて調査方法やスケジュールを設定しましょう。

またコスト削減や時間短縮のために、政府や研究機関が公開しているオープンデータを活用するのも一つの方法です。

調査ターゲットの目線に立って設計する

市場調査を行う際には、調査対象者の目線に立って質問を設計しましょう。

ターゲットとなる顧客層の属性や関心を考慮し、質問内容を分かりやすく具体的にすることで、より正確なデータを収集することができます。

反対に、質問が抽象的だったり難解だったりすると、回答者が正確に答えられず、データの信頼性が低下します。

具体的には、下記の点に気をつけると良いでしょう。

・質問文:シンプルで具体的にし、回答者が直感的に理解できるようにしましょう
・質問の量:回答者に過度な負担をかけないように、答えやすい文量に配慮しましょう

調査対象者の視点に立つことで、回答率が向上し、より多くの有用なデータを収集することができます。

まとめ

市場調査は現状把握に、マーケティングリサーチは将来予測に役立ちます。これらの手法を効果的に活用し、顧客のニーズを正確に把握することで、競争優位性を確保し、持続的な成長を実現しましょう。