【hupodea・奥島輝也】日本の生活に困る外国人留学生を救うスキルシェアマーケットを作りたい!
アドリブワークスでは、シード期”未満”に特化したスタートアップスタジオ「NOROSI」を運営しています。今回は、NOROSIに所属するスタートアップの起業ストーリーをご紹介します!
プロフィール
奥島 輝也
HighlineCollege Education学部終了、京都産業大学大学院 生命科学研究科修士号終了。
大阪で建設業界を中心に営業のキャリアを積んだ後、大手設備会社にて営業、新事業の立ち上げ〜導入に従事。その後、外国人にとって日本が住みづらい国である問題に注目し、外国人向け生活サポート事業を構想。現在は株式会社hupodea(ヒューポディア)の法人設立準備中(2023年10月設立予定)。同時にNOROSI・trivenコーディネーターを務める。
▶︎プロジェクト:“日本社会に溶け込めない外国人留学生”と”グローバル人材が必要な日本企業”がマッチングできるスキルシェアサービス「huposhare」を始めたい!
▶︎コーポレートサイト:株式会社hupodea(ヒューポディア)
外国人留学生の生活の不安を解消する「スキルシェア」サービス
ーーhupodea(ヒューポディア)の事業内容について簡単に教えてください!
奥島さん:日本で暮らす外国人留学生と日本企業をつなげるスキルシェアマーケット 「huposhare(ヒューポシェア)」を開発しています。
現在日本には約25万人の留学生がいますが、彼らへのサポートは行き届いておらず、言語や文化・差別問題や経済的問題に悩み、困窮生活を強いられています。
一方で企業側ではインバウンド需要の高まりや国内市場の縮小を受けて、日本に住む外国人の力を借りながら海外向けの商品を開発したいというニーズが高まっています。
「huposhare」は、外国人留学生ならではのユニークなスキルや経験、知識を日本人・日本企業が活用できるオンラインマーケットです。
このhuposhareにより、留学生には経済的問題の軽減と日本に溶け込めるきっかけを提供し、日本人・日本企業には留学生のスキルと優秀なグローバル人材との出会いを提供します。
「huposhare」の最大の特徴は、外国人留学生のスキル提供の対価は金銭ではなく、物資をお渡しするという点。
外国人留学生の多くは留学ビザを受けて来日するのですが、原則週28時間までしか働けないという就労制限があります。
そこで「huposhare」では金銭の代わりに、食材や日用品をまとめた生活物資パッケージ「No Worries」という形で留学生に還元します。
そうすることで、留学生は就労制限に悩むことなく「huposhare」を活用できるようにしています。
ーー奥島さんは約一年前にもインタビューをさせていただきました。前回のインタビューから事業に変化はありましたか?
奥島さん:「日本に来た外国人の困りごとを解決する」という根幹の想いは変わっていないのですが、ターゲットやビジネスモデルは1年で大きく変化しました。
もともとは外国人観光客をターゲットにしていたのですが、日本に住む外国人留学生の方の声を通じて「外国人が日本で生活すること」のハードルの高さや課題の根深さを知り、在留外国人にサービスを展開することを決めました。そして初めのターゲットを外国人留学生にしました。
外国人留学生の方は意欲も高く、非常に優秀な方たちばかりです。
しかし言語や文化の違いで日本から孤立してしまうことも多かったり、労働時間の制限があるために困窮したりしています。最悪の場合、自ら命を絶ってしまうという方もいらっしゃるのです。
ーー外国人留学生の生活にサポートが行き届いていないことを初めて知りました……。外国人の生の声を聞いたからこそ、このような事業の変化が生まれたのでしょうか?
奥島さん:そうですね。
「自分1人で考えていても、良いアイデアは生まれない」とこの1年間で実感したので、留学生の方や企業の方含めて色々な人に会って、自分のビジネスを話し、フィードバックをもらうことを心がけています。
また先ほど話した「留学生と日本企業をマッチングさせる」というアイデアも、ある人と話す中で出てきたものです。
「優秀な外国人とつながりたい企業」のネットワークを持つ方と出会えたことで、自分のビジネスが成長した先に様々なマネタイズの選択肢があることに気づけました。
積極的に行動し続けることが、良い出会いを引き寄せる
ーー「huposhare」は留学生のネットワークをいかに構築するかが重要かと思います。どのようにつながりを作っているのでしょうか?
奥島さん:一番最初は外国人留学生の知人が誰もいなかったので、母校の研究室の教授に頼んで外国人留学生を紹介してもらうことから始めていました。
大きな転機となったのは、京都に在住しているインド人留学生の起業家の方と出会えたことです。その方が登壇するイベントに足を運び声をかけたところ、「外国人留学生を助けたい」という想いにすごく共感してくださって。現在はその方のつながりを通じて、80名以上の外国人留学生とコンタクトをとっています。
ーー奥島さんが積極的に行動し続けてきたからこそ、良い出会いを引き寄せていることが伝わってきます。事業に取り組む中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
奥島さん:「huposhare」でお渡しする生活物資パッケージのテストマーケティングをした際に、留学生から大きな反響があったことが印象に残っています。生活物資配送キャンペーンを実施したところ、予想以上に応募がたくさん来てニーズの高さを改めて感じましたね。
また生活物資パッケージには、農家さんが市場に出せなかった規格外野菜を含む食材や日用品などの生活必需品とともに、留学生の方へ向けた手紙を同梱していました。
手紙には「このパッケージによって経済的問題を少しでも緩和できれば嬉しい」「あなたが理想の留学を実現できることを願っています」という内容を書いたのですが、それに対して「日本での生活に孤独感を感じていたけれど、すごく救われた」という返信が届いたんです。
その方は「日々の生活に困り果てていて、追い詰められていた」と話してくれました。苦しんでいる人たちが実際に存在していること、そして「huposhare」がその解決に少しでも貢献できることを実感した瞬間でした。
留学生だけではなく、日本の課題解決にもつながるサービスへ
ーー企業や自治体からの反響はありましたか?
奥島さん:ありがたいことに、色々な方から「面白いアイデアだね!」と言っていただいています。
企業の方からは「外国人留学生の力をスポットで借りたい」というニーズの他「生活物資パッケージに自社の商品やチラシを入れて欲しい」という声もいただいており、様々なビジネス展開の可能性を感じています。
また自治体の方も、外国人との関わりについては「観光や留学などの一時滞在は増えたけど、なかなか定住してくれない」という課題を感じていると言います。
「hoposhare」がそんな課題を解決する一助になれば嬉しいですね。
ーー奥島さんはtriven・NOROSIのコーディネーターとしても活躍されています。コーディネーターをする中で学んだものがあれば教えてください。
奥島さん:山岡さんや栗山さん(NOROSIのコーディネーター・アドリブワークスのCEO/COO)と一緒に仕事する中で感じるのは、「シード期のスタートアップには幅広いスキルが必要」ということです。
お二人ともデザインツールやノーコードツールをうまく活用して色々なアウトプットを作るのが得意ですし、30分のミーティングで「なんでそんなポンポン出てくるの?」という量のアイデアが飛び出してくるんです(笑)。
一方、自分はやったことがない業務に対して最初の一歩がどうしても遅れがち。
なのでNOROSIの業務の中でトレーニングを積んだり、うまく皆さんを頼ったりしながら「シード期のビジネスを切り拓く力」を養っていきたいですね。
最初のビジネスアイデアは隠さない方がいい
ーーhupodeaの今後の展望を教えてください。
奥島さん:2023年の10月に法人登記、2024年の3月までには「huposhare」を正式リリースしたいです。
今年中にはテストリリースまで持っていけるように、今はサイトの構築や営業を急ピッチで行っています。
ーーまさにビジネスが本格的に始動する直前なのですね。最後に、これから起業を目指す方へメッセージをお願いします!
奥島さん:僕自身も含めて、起業を考えている人の中には「自分のビジネスアイデアを秘密にしたい」という人も多いと思います。ですが今振り返ってみると、「一番最初に自分が思いついたアイデアって、大したことなかったな」と思うんです。
最初のアイデアは穴だらけですし、誰かにアイデアを盗まれるなんてこともそうそう起こりません。だからこそ、一度どこかで発表してみたり、スモールスケールで実際に取り組んでみたりといった「小さく試す」ことに挑戦してほしいと思います。
アイデアは誰かに共有しないとブラッシュアップされないし、支援者や突破口も見つかりません。
アイデア段階のうちに多くの失敗と修正を経験して、少しずつビジネスを作ることから始めてみてください!
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