創業者オタクが今月読んだ起業本#04「知識ゼロでも今すぐ使える!行動経済学見るだけノート」
スタートアップ企業の代表を務めながら、様々な会社のリーダーや創業ストーリーを追いかける「創業者オタク」としても活躍する鈴木粋さんに、今月読んだおすすめの本を伺う本連載。
第四回目となる今回は、経済を人々の行動心理から分かりやすく読み解く「知識ゼロでも今すぐ使える!行動経済学見るだけノート」を取り上げます。
プロフィール
鈴木 粋
プロフィール
2000年、京都に生まれる。創業者オタク。2023年8月、株式会社モクジヤを設立。創業者向けのサービスとして、創業者ご自身の半生をグラフィックレコーディングにして提供。そのグラレコ制作の過程で得られた創業者のロールモデルを「キャリアへの考え方」「お金/時間の使い方」「挑む心持ち」の三軸で分析し、創業者データベースを作成中。それらのデータを切り出して、創業者オタクサイト「FOUNDER’s FANPAGE(ファウンダーズ・ファンページ)」にて発信も行う。
今月の起業本:知識ゼロでも今すぐ使える!行動経済学見るだけノート
今回、創業者オタクである私、鈴木がご紹介する本は、人間が日頃どのように経済活動を行っているかが俯瞰的に見て取れる一冊です。
ところでみなさん、日常の行動一つ一つがどのような動機で行われているか理解していますか?また、それらがどのように経済を動かしているか意識したことはあるでしょうか。
私たちが生きるこの経済圏および経済は、私たちの心の働きによって動いています。では、どのような心の働きが、経済をどのように動かしているのでしょうか?
日頃、無意識にしている購買活動の中にも、たくさんのヒントが隠れています。
些細な行動がどのように経済に影響していくのかの仕組みを理解できたとき、何気ない日常風景から新しいビジネスのヒントや、既存のビジネスの仕組みが自然と見えてくるようになるでしょう。
本書は、前回記事でご紹介した書籍「ビジネスモデル2.0図鑑」を読み、そこで紹介されていたサービスやビジネスモデルの考え方を理解した上で読むと良いでしょう。
世の中にあるビジネスモデルを把握した上で、起業家になるためのさらなる一歩として、実際に消費者がどのようにそのサービスと出会い、利用しているのかを観察するために読んでいただけるとさらに有効かと思います。
この「知識ゼロでも今すぐ使える!行動経済学見るだけノート」は、名前の通り、見るだけでスッと行動経済学の概要が理解できるだけでなく、学んだ知見をすぐに実践できるように「行動経済学が日常生活でどのように使われているか」も解説されています。
もちろん、起業や経営をする上で経済学や経営学の勉強は必須ですが、座学としての学問にとどまってしまっては意味がありません。学んだ後に「今の自分が実践できることは何か」をイメージし、実際に動いてみることが何よりも重要です。
「自分が提供するサービスや商品を、どのようなシチュエーションでお客さんが買い、使ってくれるのか」イメージがつかないというとき、この本は、あなたのビジネスの実現度合いの仮説を立てる強力な手助けとなります。
「世間で起こる経済現象のすべては人の行動から始まる」という具体的な事例を、完結にビジュアルを添えて、分かりやすく教えてくれるのです。
あなたはこの一冊を読み終わった後、すぐにでも行動に移してみたくなるはず。そんなポジティブな一冊です。
この本では具体的な事例をピックアップし、そこで巻き起こる経済活動の仕組みを、ビジュアル中心にまとめ、重要なキーワードや文言を強調してくれています。
事例ごとの要点を漏らすことなくインプットすることができますし、今後さらに行動経済学を勉強したいと思ったときには、各節のキーワードを深掘りして学ぶとよいでしょう。
またこの本自体が「2時間で頭に入る!」と銘打っており、非常にコンパクトな構成になっています。なので、そもそも本を読むのが苦手…という人でも手に取りやすいかと思います。
掲載されている内容は「行動経済学とは一体何なのか」という前提から、バブルなどの経済現象の仕組み、行動経済学がこれからの世の中でどのように活用できるのかまでを網羅しており、非常に満足感のある内容となっています。
私はこの本を読む中で、普段好んでいるサービスや商品について「なぜ購入し、使っているのか」を見つめ直すことができました。今後自分が商品やサービスを提供する際に、どのような工夫を凝らせば人が動いてくれるのか、仮説を立てる参考にしています。(今でも新しい仮説検証をする前に見返しています!)
この本は、前回ご紹介した「ビジネスモデル2.0図鑑」から少し形式的な学問に立ち返りつつも、具体的な人の動きに焦点が当てられています。
この本から学んだことをもとに、第三者の行動を観察するだけでなく、自分自身の普段の行動にも意識を向けることで、さらに気づきや学びが得られるはずです。
「あなたが提供したいサービスや商品が、どのようにして日本に、そして世界に広がっていくのか?」。この本はその問いの答えを具体的に想像し、その上で仮説検証に進めるうえで役立つことでしょう。
より健やかな日常に、より良い挑戦を。