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自治体と二人三脚でビジネスを作る|hidane Camp(ヒダネ キャンプ) in 養父

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スタートアップスタジオ「norosi(ノロシ)」では、norosi加盟自治体の地域にスタートアップ・起業家たちが集い、地域課題の解決策や自社と地域とのコラボレーション可能性を探るプログラム「hidane Camp」を不定期開催しています。

2024年6月には兵庫県養父市にて2日間のhidane Campを開催、起業家たちは市長や自治体の産業振興担当の方・地元の事業者さんとともに、自社のビジネスをグロースさせるためのディスカッションを交わしました。

本記事では地域の人たちとスタートアップが関わる中でどんなビジネスの種が生まれたのか、その様子をレポートします。

hidane Camp(ヒダネ キャンプ)とは?

「hidane Camp」とは、norosiに所属する起業家・スタートアップたちがnorosi加盟自治体へリアルに集う、合宿形式のイベントです。

地域の課題をその目で確かめ、その解決策を磨き上げ、自治体の担当者の方にプレゼンテーションします。

地域課題と事業内容がマッチすれば、スタートアップ×自治体・地域の事業者との実証実験やコラボ事業も生まれるかもしれません。

兵庫県内陸部にある国家戦略特区・養父(やぶ)市とは?

兵庫県養父市は人口約2万人、県の北部に位置し、西は県内最高峰である氷ノ山、北は兵庫県・大阪府・京都府にまたがる妙見山に囲まれた、美しい自然が魅力の地域。

日本各地のブランド牛のルーツとも呼ばれる黒毛和牛「但馬牛」や、さわやかな香りが特徴の「朝倉山椒」などの特産品が知られており、豊かな自然を活かした農業やアウトドアスポーツが盛んです。

近年は「世界で一番ビジネスがしやすい環境」を創出することを目的に創設された国家戦略特区に指定され、従来の法制度や規制にとらわれない新たなビジネスにも取り組みやすい地域となっています。

hidane Campの様子をレポート!

今回の参加者は10名ほど。宮城、東京、兵庫、大阪、山口、熊本など、全国からメンバーが集まりました。

当日は養父市役所の訪問に始まり、地元の和菓子販売事業者との打ち合わせ、昭和の鉱業の様子が色濃く残る明延鉱山跡の見学、養父市をテーマにしたアイデアソンなど、起業家と地域が共創を進める2日間となりました。

外国人留学生を活用し、世界へ養父の魅力を発信! 自治体や地元事業者とディスカッションを重ねる

株式会社hupodea(ヒューポディア)の奥島輝也さん・合同会社Wizflickの角川翔大さんのお二人は、今回のhidane Campの訪問に合わせて外国人留学生を活用した養父市のPRプロジェクトを企画。

自治体の担当者に提案をぶつけ、外国人観光客の受け入れ状況やインバウンド施策をヒアリングしました。

その後養父市職員からの紹介で、皇室に献上されたこともある和菓子を販売する養父市内の老舗和菓子店「谷常製菓」さんと打ち合わせ。海外展開やインバウンド向けの商品開発など、市に外国人観光客を呼び込む施策を話し合いしました。

養父市でプロジェクトを立ち上げるメリットについて「自治体の職員さんたちのフットワークが軽く、色々な企画に前のめりで協力してくれる」と奥島さん。

「今回もらったフィードバックをもとに生まれたアイデアもあるので、また提案したい」と意欲を語りました。

また複数のスタートアップ・起業家と養父市市長が面談する場を設け、参加者それぞれの事業をアピール。

地域のアセットや国家戦略特区というメリットを活かしながら、地域でどんな実証やコラボレーションができそうか、市長からアイデアをいただきました。

昭和の鉱山を舞台に、イマーシブシアターを養父で! 当時の風景が残る明延鉱山を見学

養父市内には、かつては国内生産の約90%の錫を採掘していた鉱山として知られる「明延鉱山」があります。昭和62年の閉山後も「子どもたちにこの土地の歴史を知ってほしい」という想いから、坑道や鉱山町の街並みが当時のまま残されている地域です。

合同会社ブラインドライターズの和久井香菜子さんは、そんな明延地域を舞台にイマーシブシアター(空間全体が舞台となり、観客たちも物語の登場人物として介入できる体験型の演劇)を行おうしています。

「障害の有無にかかわらず、誰もが参加できるインクルーシブな体験を作りたい」と語る和久井さん。

今回はイマーシブシアターにふさわしい舞台を探すべく、当時の採掘現場の雰囲気が色濃く残る資料館や坑道跡を見学しました。

その後、養父市職員との打ち合わせでは秋の実施へ向け、プロジェクトを盛り上げる施策をディスカッションしました。

triven Fab(トリブンファブ)でアイデアソン!「養父市の地域課題解決」をテーマにビジネスアイデアが飛び交う

一日目の夜は、養父市内の古民家をリノベーションしたビジネススペース「triven Fab(トリブン ファブ)」にて「養父市の地域課題を解決するビジネスアイデア」をテーマにしたアイデアソンを開催。

3つのチームに分かれ、優勝を目指しビジネスアイデアを競い合います。

今回のアイデアソンの制限時間は1時間。

わずかな時間でアイデア発想からプレゼン資料の作成までを終わらせるため、各チームは事業開発の省力化を叶えるビジネスプランジェネレーター「triven Ai」をフル活用しながらアイデアを磨きました。

各チームからは「養父市の課題は?」「地域の魅力や強みは?」「養父に継続的に訪れてもらうには?」など様々な切り口でアイデアが飛び交う場に。

参加後は「携わる事業や立場などが違う人たちとアイディエーションをすることで、思わぬアイデアに出会えることを実感した」という声もあがりました。

最後は各チームのビジネスアイデアを代表者がプレゼン。参加者は自分以外のチームに投票し、優勝チームを決めました。

優勝に選ばれたのは「ガソリン給油し放題&農地贈呈で週末農業を楽しんでもらう」というビジネスアイデア。周辺に観光地が多い養父の立地を活かし、養父へ継続的に立ち寄るインセンティブを創出した点が評価されました。

他にも「日本文化が楽しめるインバウンド観光客向け長期ツアー」「地域を巡る恋活プロジェクト」など、ユニークなアイデアが次々と飛び出し、大盛り上がりの中1日目が終了しました。

ソニーのマーケッターによる「hidaneラーニング」公開収録

2日目は各業界のスペシャリストをお招きし、スタートアップ・起業家にとっての注目テーマを題材にしたトークセッションを行う「hidaneラーニング」公開収録を実施。

当日はソニーマーケティングの宮川大毅さんに登壇いただき、ソニー製品の事例も交えながら市場規模の捉え方やコアターゲットの絞り込み方など、事業開発の核となるマーケティング戦略立案の方法を学びました。

一歩外に出ることで、ビジネスの火種は広がっていく

新型コロナ発生以降、ビジネスコミュニケーションの主戦場はオンラインに切り替わりました。オンラインは場所にとらわれずコミュニケーションが取れる一方、自宅や同じ価値観のコミュニティにこもることが増え、どうしても視野がせまくなりがちです。

自分の知らない地域へ実際に足を運び、様々な土地や人を深く知り、新たな視点や考えを取り入れる。

その中で、思わぬ機会やビジネスチャンスに出会えることを実感した起業家も多いのではないでしょうか。

今後もnorosiでは定期的に、スタートアップ支援に前向きな自治体との連携の場を積極的に作っていく予定です。

興味のあるスタートアップ・起業家予備軍の方は、norosiのエントリーフォームにてエントリーを!