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一人起業の進め方 |おすすめのビジネスや成功事例を解説

これからの人生を考えて、一人で起業したいと考えている人も多いでしょう。

「場所や時間にとらわれず自由に働きたい」
「会社員としてのキャリアは十分積んだから、新しい領域にチャレンジしてみたい」
「定年退職したので、自分で仕事を始めてみたい」

など、独立して一人で起業したい理由は様々あります。

今回は100名以上のスタートアップ立ち上げ支援を行ってきたスタートアップスタジオ「NOROSI(ノロシ)」の知見をもとに、一人で起業できる人気のビジネスや向いている人、起業家の具体的な事例を解説します。

一人で起業するときの選択肢

一人起業には大きく分けて二つの選択肢があります。

・法人を設立せず、個人事業主として開業する
・合同会社・株式会社などの法人を設立する

個人事業主の場合、税務署に開業届を出して個人事業主の登録をするだけで事業を開始できます。一方法人を設立する場合は、定款の作成や登記申請、資本金の払い込みなど一定の手順を踏む必要があります。

手間だけを考えると個人事業主の方が有利ですが、法人設立(一人会社/一人社長)にも税制上のメリットがあります。

収入から経費などを引いた所得が800万円を超えると、個人事業主として支払う所得税の額よりも法人税の額の方が低くなり、節税効果が期待できます。どちらを選ぶか迷っている人は、最初は個人事業主から始めて、事業が拡大してきたら会社設立(法人成り)する選択をしても良いでしょう。

個人事業主が法人化(法人成り)するメリット・デメリットについても今後まとめますのでしばらくお待ちください

一人起業のよくある働き方

「一人起業」と一口に言っても、一人起業をしたい理由は人によって様々です。

・人間関係や働き方に悩むことなく、自由に働きたい
・FIREを実現するために効率的に資金を貯めたい
・自分の好きなことを仕事にしたい
・自分のアイデアや想いを形にして世の中を変えたい

など、一人ひとりが自分なりの理想やビジョンを持って一人起業に踏み出しています。

しかし、自分の目標にそぐわない働き方を選択してしまうと後から「こんなはずでは……」と後悔する結果になりかねません。

一人起業のパターンをイメージした上で、自分に合う働き方は何か検討してみましょう。

初期投資のいらない働き方

自分のスキルや経験を元手に、仕事や対価を得る働き方です。まとまった資金は不要なので立ち上がりは早いものの、生き残るためには高度なスキルや専門知識を磨き続ける必要があります。

フリーランスで複数の取引先から仕事を請け負う

フリーランスは、一つの組織に属さず複数の取引先から仕事を請け負う働き方のこと。
自分のキャパシティ次第でたくさんの仕事を受けられる上に、スキルや実績を積めば高単価での受注もできるので、実力のある人は会社員よりも収入を伸ばすことができます。

出典:フリーランス実態調査結果

一方、収入面での厳しさを実感する人が多いのもフリーランスの特徴です。

内閣官房日本経済再生総合事務局「フリーランス実態調査結果」によると、約6割のフリーランスが働く上での障壁として「収入が少ない・安定しない」と回答しました。
仕事を常に受注できる保証はなく、取引先から契約を打ち切られるリスクもあるため、なかなか収入が安定しないことも多いようです。

また案件や収入が安定しているフリーランスでも、売上に比例して労働時間が増えてしまい、健康を害してしまうリスクもあります。

プロフェッショナルとしてスキルや知識を販売する

クライアントから業務を引き受けることで対価を得るのではなく、自分のスキルや知見を商品やサービスの形にして販売する方法です。

スキルや知見を活かした働き方の具体例として、士業やコンサルタント、有料のセミナーやオンラインサロン運営、情報商材をはじめとする有料ノウハウの販売があります。提供する知識の専門性の独自性が高いほど、競合が少なくなるため安定した売上を確保できます。

このビジネスで特に重要なのが人脈とセルフブランディングです。SNSやネットワークを通じて自分のブランドを構築するとビジネスが成長しやすくなります。深い知見だけではなく、マーケティングスキルや人の注目を集める情報発信力、信頼してもらうためのコミュニケーションスキルが求められる働き方と言えます。

初期投資が必要な働き方

初期投資が必要な一人起業の働き方として、ここでは

  • 店舗系のビジネス
  • 自社製品・サービスの開発

を紹介します。

これらのビジネスを始める人は、明確な目標や「これがやりたい」という想いを持っていることが多いです。しかし事業運営に一定のコストがかかるビジネスのため、資金の準備や市場調査、資金計画の策定など、念入りな起業準備の上で踏み出しましょう。

店舗を構えて仕事を始める

飲食店やカフェなど、自身の店舗を構えて商品やサービスを提供する方法です。

店舗系ビジネスでは地域に根ざした営業・マーケティング活動がやりやすく、リピーターがつけば長い期間安定したビジネス基盤を作ることが可能です。一方、場所代や光熱費、家具・道具などの備品、商品の仕入れ代といった経費がかかるため、一定の売上をあげないと赤字になってしまうことがあります。

また店舗運営のノウハウは書籍だけで学ぶのは難しく、実際にやってみないとわからないことも多いもの。「店舗ビジネスをやりたいけどノウハウがない」という人は、チェーン企業とフランチャイズ契約を結び、ノウハウを得ながら店舗を経営するという選択肢もあります。

自社製品・サービスを開発する

自社製品・サービスを開発し、販売する方法です。食品・日用品・アパレル製品・電子機器といった有形商品のほか、アプリ・webサービス・ECサイトも自社製品・サービスに含まれます。

これらのビジネスはほとんどの場合、立ち上げを開始してから顧客を獲得し、製品・サービスが売れるまでに時間がかかります。最悪の場合、売れるための試行錯誤をしているうちにいつの間にか資金が底を尽きてしまい、開発そのものができなくなることもあります。

一方、参入障壁が高い領域で独自の製品・サービスを作り上げれば、安定した生産体制のもとで大きな売上を確保できます。

安定と理想の実現を両立するなら「ライスワーク」と「ライフワーク」を組み合わせるのがおすすめ

初期はライスワークで稼ぎながら、徐々にライフワークの割合を大きくする

  • 今まで世の中にはなかったアイデアを形にしたい
  • 最終的には会社や事業を売却して大きく稼ぎたい
  • 今まで趣味だったものを仕事にしたい

といった大きな理想を思い描いている人ほど、初期段階では「理想の働き方」と「収入の安定」を両立させるのは難しいもの。

norosi pressを運営するスタートアップスタジオ「NOROSI」では、両者を実現するためにライスワークとライフワークを組み合わせながら徐々にやりたいことに近づく働き方をおすすめしています。

初期:ライスワークで生活費を稼ぎつつ、ライフワークのための資金を貯めながら、極力お金をかけずにライフワークの市場調査・計画を立てる

中期:事業計画を立て、資金の目処がついたら、ライスワークの売上の一部をライフワークの資金として投資する。リスクヘッジのためライスワークは続ける

後期:ライフワークの売上が軌道に乗ったら、徐々にライスワークの割合を下げていく

ここでいうライスワークとは、フリーランスやコンサルティングなど、自分のスキルを元手に行う働き方のこと。初期投資不要で比較的ビジネスとしてのリスクが低いため、ビジネスとして成立させやすいのが特徴です。

いきなりやりたいことに手を出すと、失敗したときのリスクやダメージも大きくなります。自分の理想や目標に対して長い時間軸を取り、「将来的に達成するにはどうすべきか?」を考えて動くのがおすすめです。

一人起業のメリット

ここでは一人起業のメリットとして上記の4つを解説します。

自分の裁量で仕事ができる

会社のルールに従う必要がある会社員の働き方と比較して、一人起業では働き方や事業における意思決定を自由かつスピーディーに行うことができます。自分のビジョンや目標に向かって柔軟に行動できるため、上司に従いながら働くのが苦手な人にとってはフラストレーションも少ないでしょう。

時間のやりくり次第ではプライベートも確保しやすく、仕事と生活のバランスを取りやすいのも魅力です。

少ない資金から始められる

一人起業では原則メンバーを雇わないため、人件費を最小限に抑えられます。さらに、法人を立ち上げず個人事業主として開業する場合は資本金なども不要です。副業として始める場合は、本業の給料で生活費をまかなえるので、さらにリスクを最小限に抑えながら事業を展開できます。

方針転換が容易で、小回りが効きやすい

一人起業では人件費やオフィス代などの固定費を最小限に抑えることができるため、不測の事態にも柔軟に対応できます。また、メンバーが1人しかいないので、スピーディーな意思決定によってビジネスチャンスを掴みやすくなります。

特に起業の最初期は経営方針が安定しないことも多いため、素早く方針転換ができることはメリットです。

幅広い知見を得られる

一人起業では、経理やマーケティングなど幅広い業務をすべて一人でこなす必要があります。自らが事業のあらゆる面を管理することで、会社経営に必須のノウハウを総合的に身に付けることができます。幅広いビジネススキルを習得することで、将来的な事業拡大や組織の成長にも大きなプラスとなります。

一人起業のデメリット

会社員や他のメンバーがいるときと比較して、一人起業のデメリットを3つ解説します。

あらゆる仕事を自分の責任で行う必要がある

一人起業では、全ての責任が自身に帰属します。トラブルや資金不足などの問題に直面した際も、自己責任で解決しなければなりません。失敗を他人のせいにすることはできないという精神的なつらさもあります。

これらを乗り越えるためには、失敗してもすぐに立ち上がるメンタルの強さや、常に新しいことを学び続けるハングリー精神が必要です。

孤独感やストレスなど、メンタルヘルスの問題を抱えやすい

オフィスがある会社員とは違い、一人起業は一人で黙々と作業することが多いため、プライベートと仕事の境目が曖昧になりがちです。また労働時間の制約もないため、成果にがむしゃらになればなるほど長時間労働になりやすい傾向があります。

デジタル・メンタル・プラットフォームを提供する株式会社Awarefyの調査によると経営者の約半数が「経営者になってから『心の不調』による症状を感じたことがある」と回答しました。

また「孤独を感じたことがあるか」尋ねたところ、「とてもある」と「ややある」が合わせて44.3%で、4割以上が孤独を感じたことがあることがわかりました。このように、自分で会社を立ち上げる経験をした人は、メンタルヘルスの悩みを抱えることが多いようです。

株式会社Awarefyの調査より作成

特に一人で抱え込みがちな人ほど、周囲のサポートを得られずに孤独感に苛まれる可能性があります。

今後、norosi pressでは起業家のメンタルヘルス対策についてまとめたいと思いますのでもうしばらくお待ちください。

社会的信用が薄い

会社に他のメンバーがいない一人起業者は、社会的信用を得るのが難しい場合があります。資金調達や集客においても、十分な後ろ盾や信頼性を証明できず、融資や取引を断られることも少なくありません。場合によっては家を借りられない、クレジットカードを作れないなど、信用度が低いゆえにプライベートにも影響が出る可能性があります。

一人ビジネスの立ち上げのために相談相手を探そう

メンバーがいない一人起業はフットワークが軽くなりやすいものの、自分の頭だけで考えるため視野が狭くなりがちです。思考の整理やメンタルの安定を考えて、気軽に相談できる人を探しましょう。

中小企業庁「日本の起業環境及び潜在的起業家に関する調査」によると、起業家の相談相手は「家族・親戚」が40.8%で最も多く、次に「友人・知人」「起業のパートナー」と続きます。

出典:中小企業庁

一人起業、かつ自分の専門外の領域でビジネスを立ち上げようとする人は、自分にはない知見を持っているアドバイザーを探すのも良いでしょう。

創業前のプレシード期に特化したスタートアップスタジオ「NOROSI」では
「実現したい起業アイデアはあるけど、何から始めたらいいのかわからない」
「専門家の力も借りながら、スピーディーに事業を立ち上げたい」
という人たちの起業のハードルを下げるために、事業開発の経験が豊富な事務局のメンバーが二人三脚で起業を支援しています。

スタートアップ支援を行う全国の自治体・企業と連携しながら、

  • ビジネスアイデアの壁打ち
  • 信頼できるパートナー・支援者探し
  • 自治体との連携
  • 法人化の準備

など、ビジネスの一歩目を徹底サポートします。「周りに相談できる人がいない」という方におすすめのプログラムです。

一人で開業できるおすすめの仕事

一人で開業する際に選ぶ一番最初の仕事は、必要な資金が少ないものや、自分のスキルを十分に活かせるものがおすすめです。ここでは一人で開業できる仕事を一覧で紹介します。

コンサルティング

自らのスキルや専門性、資格を活かしてクライアントへのコンサルティングサービスを提供する仕事です。必要経費の多くが人件費を占めるので、低コストで始めやすい仕事の一つです。

【法人向けコンサルティングの例】
・経営コンサルティング
・人事コンサルティング
・営業コンサルティング
・マーケティングコンサルティング など

【個人向けコンサルティングの例】
・結婚相談所
・ファイナンシャルプランナー
・個人向けキャリアコンサルティング など

士業

士業もコンサルタントの一種ですが、国家試験の合格が必要なため、より高い専門性が求められると言えます。

【士業の例】
・弁護士
・税理士
・行政書士
・社会保険労務士
・中小企業診断士 など

専門スキルを活かした請負・代行業

自分のスキルを使って成果物の制作・成果を上げることで、クライアントに貢献する仕事です。自宅で気軽にスタート可能な仕事も多く、在宅で自由に働きたいという人におすすめです。

【専門スキルを活かした請負・代行業の例】
・動画制作
・Webデザイナー
・ライター・編集者
・エンジニア
・営業代行
・家事代行 など

インターネットを活用したビジネス

インターネットを活用したビジネスには様々なものがあります。多くの場合資格不要な一方、参入障壁が低いため競合がたくさんいるビジネスです。そのため高い情報収集力と情報発信スキル、企画力が求められます。

【インターネットを活用したビジネスの例】
・アフィリエイター・ブロガー
・動画配信者
・インフルエンサー
・せどり
・ネットショップ など

店舗系ビジネス

自身で店舗を構え、商品やサービスの販売を行う仕事です。店舗の種類によっては資格や講習が必要なものもあるので、自分がやりたい店舗ではどんな準備が必要か事前に確認しましょう。

【店舗系ビジネスの例】
・飲食店(食品衛生責任者)
・コンビニ
・小売店
・学習塾 など

サロン経営

店舗系ビジネスの中でも、特に女性が自宅で開業しやすいのが美容や健康にまつわるサロン経営事業です。一方、中には機械や器具などの設備費用がかかるビジネスもあるため、どのくらいの資金が必要か事前に調べることをおすすめします。

【サロン経営の例】
・ネイルサロン
・エステサロン
・マッサージ
・リラクゼーションサロン など

店舗経営はフランチャイズという選択肢も

フランチャイズとは、コンビニエンスストアや飲食店など、普段からなじみのあるチェーン店のサービスや商品を使う権利、看板を使う権利をもらって経営をするビジネスです。

大手ブランドの名前を使い、本部からの経営サポートを受けながら仕事ができる一方で、「経営の自由が少ない」「ロイヤリティを払う必要がある」などのデメリットもあります。

「一から店舗系ビジネスを始めるのが怖い」という人は、メリットデメリットを比較した上で、フランチャイズを検討しても良いかもしれません。

一人起業に向いている人の特徴と成功事例

ここでは一人起業に向いている人の特徴と、その特徴に当てはまる起業家のエピソードを紹介します。一人起業に向いているかどうか不安に感じる人は、エピソードを読んで自分にも当てはまる部分があるか確認してみましょう。

試行回数が多い

会社員は決められた仕事をこなせば安定した収入を得られる一方、一人で開業する場合は自ら行動しないと安定した収入は望めません。

そのため
「さらに売り上げを増やすにはどうしたら良いか」
「もっと効率的に稼ぐためにできることはないか」
など、より良いやり方を模索できる人が向いています。

また、一人で挑戦しているからこそ、時には失敗する場合もあります。そんな時でも諦めず、常に成長を志向するチャレンジ精神がある人が一人起業に向いています。

少女マンガ研究から事業開発まで。「アイデアを持ち込みまくる」ライターから学ぶ、企画の育て方

合同会社ブラインドライターズの和久井香菜子さんは、​​試行回数の多さを武器に活躍する起業家です。

「ライター」と「事業家」、2つの顔を持つ彼女の仕事のやり方は「様々な企業に企画を提案しまくる」というもの。過去にはゲーム会社に企画の持ち込み携帯ゲームをリリースするなど、ライターという枠にとらわれず幅広いジャンルで活躍しています。

和久井さんによると「企画の持ち込みが通って仕事になるのはせいぜい提案したうちの1〜2割で、通らない企画の方が圧倒的に多い」とのこと。華々しく活躍している人は大きなチャレンジや失敗を経験しており、その上で「失敗からどう学ぶか」が大切であることを教えてくれます。

好奇心を持って幅広い業務に取り組める

一人起業をすると、営業、経理、マーケティング、Web制作など、今まで会社のメンバーと分担していた作業をすべて自分でこなさなければいけません。また「VUCAの時代」とも呼ばれる通り、ビジネス環境が目まぐるしく変わる現代では、市場の変化に対応するための勉強や研鑽も必須です。

このように、会社員のときよりも要求されるスキルが増えるため、さまざまなタスクを効率よくこなせる能力が必要になるでしょう。

「お疲れ」な人たちのためのスパイスカレー「otsucurry」を製造・販売する栗山依子さんは、幅広い業務に携わりながら活躍する起業家の一人です。

大手広告代理店に勤務の傍ら、産休・育休中に農業大学校に通学。その後「NOROSI」に参画、コーディネーターとしてスタートアップ立ち上げ支援に従事しながら、「otsucurry」の企画や国産無農薬ライムの栽培・販売などマルチに活動されています。

自分の想いを形にして世の中に届けるには、一つひとつのタスクに根気強く取り組む必要があります。「せっかくやりたいことがあるのに、挑戦することを諦めてしまうのはもったいない」という栗山さんの言葉の通り「挑戦してみたい」「なんとしても実現させたい」という気持ちこそが、未知の世界に飛び込む原動力となるのではないでしょうか。

責任感が強い

一人起業では、「いつ、どんな仕事をするのか」を自分で自由に決められます。しかしその代わり、仕事で成果をあげられなければ収入はなくなりますし、仕事で失敗をしても自分が責任を取るしかありません。

だからこそ一人起業では「絶対に世の中に貢献する」「必ず売れるものにする」というある種の責任感が問われます。多少の挫折や失敗に囚われず、目標を持って走り続けられる人は起業に向いていると言えるでしょう。

Yellow Duck株式会社の中山 繁生さんは、海の波の力で発電する「アヒル発電(Wave-DAC)」の開発に挑む起業家です。

中山さんの起業のきっかけは、近所の山の斜面に設置された太陽光パネルが自然破壊を起こしているのを見て「これはなんとかせねば!」と危機感を持ったことだそう。当時、電気系の知識をまったく持っていなかったにもかかわらず「もっと自然に、生き物に優しい発電システムを」という使命感のもと勉強と実験をくり返しながら、5年かけて今のアヒル発電の構想にたどり着いたといいます。

中山さんによると、「何十社と色々な会社に問い合わせてみても、ほとんど誰も相手にしてくれなかった」こともあったとのこと。そこから2025年の大阪・関西万博の出展(予定)という舞台にまでたどり着いたのは、まさに中山さん自身の強い責任感の賜物と言えそうです。

一人開業の注意点|失敗しない起業の進め方

出典:NOROSIホームページ

NOROSI」では事業立ち上げ・法人設立までのステップを「起業クエスト」という形でまとめ、各ステージにおいてつまづきやすいポイントをサポートしています。ここでは過去100名以上の起業希望者の方を支援した経験をもとに、「一人起業」に特化して注意すべき点を解説します。

今後、norosi pressでは起業クエストの詳細をさらにわかりやすく紹介したいと思うので、もうしばらくお待ちください

一人起業の目標を明確にしてからビジネスを考える

「1st Stage:検証ラウンド」に取り組む際に「なぜ一人起業をしたいのか、一人起業によって何を実現したいのか」を明確にしましょう。

起業の目標を決めないと、ただお金を儲けるために仕事をたくさん抱え込んだり、人に流されてやりたくないことを引き受けたりなど、自分の夢や目標からかえって遠ざかってしまうことになりかねません。

例えば「10年以内にFIREを実現し、それ以降は働かずに暮らす」のが目的だとしましょう。FIREの基本的な考え方として、資産を年利4%で運用し、生じた利益を生活費として切り崩すという「4%ルール」があります。

この4%ルールに則って、

・FIRE後の自分の生活費をいくらにしたいか

・FIRE後に年利4%で生活費を稼ぐためには、資産は何円必要か

・10年以内に上記の資産を稼ぐためには、どんな市場でどんなビジネスをするべきか

のように、起業によって自分が実現したい理想の姿を考えると、自分が取り組むべき起業アイデアや全体像が見えやすくなります。

起業のための準備を行う

「2nd Stage:企画書(ピッチデック)作成」に取り組む際には、市場調査や事業計画策定を綿密に行いましょう。
今はインターネットを使えば、簡単な市場調査が無料かつ短時間でできます。

  • 始めようとしているビジネスの市場動向
  • 競合が提供しているサービスの特徴や価格
  • ビジネスを実現するために、どんな準備や協力を募る必要があるか

など、ビジネスを始めるために最低限のリサーチを行いましょう。


初期費用が必要な場合は、早めに資金を準備しましょう。特に店舗や商品開発が必要なビジネスを行う場合、初期費用も高額になります。開業する際は一時的に収入がなくなる場合もあるため、売り上げが上がるまでの間の生活資金を半年分は用意するのがおすすめです。

開業に必要な手続きを理解する

個人事業主として開業する場合は、以下の手続きが必要です。

  • 税務署に開業届を提出する
  • 税制上の優遇を受けるため、税務署に青色申告承認申請書を提出する

会社員とは異なり、所得があった年の翌年2月〜3月には確定申告をして税金を払わなければいけません。

また、会社員から開業して個人事業主になる場合は、国民健康保険や国民年金に加入し直します。会社員であれば、厚生年金は会社との折半で給料から天引きされますが、個人事業主は国民年金保険のみで、支払いも自分で全額しなければなりません。

個人事業主の社会保障は会社員よりも手厚いとは言えないため、従来の社会保障とは別に自分で老後資金や健康への備えを行うようにしましょう。

今後、norosi pressでは会社の設立方法もまとめたいと思いますのでもうしばらくお待ちください

事業に関わる法律を把握する

始める事業によっては、様々な法律に則って運営する必要があります。

特定商取引法

特定商取引法は、消費者と事業者の間で行われる特定の取引に関するルールを定めた法律で、インターネット上の販売や広告を規制するものです。商品の価格や販売条件、解約権やクーリングオフ期間などの必要な情報の明示を義務づけるとともに、広告に虚偽を含めることを禁止しています。

電子契約法

電子契約法は、電子契約にまつわるルールを定めた法律です。例えばECサイトにおいて、消費者を保護するために「商品購入のボタンを押した後には、ユーザーの入力内容を必ず表示する」「個人情報の取り扱いについて適切なセキュリティ対策を講じる」など、電子上の契約の締結にあたって適切な手段を用いて合意形成を行うことを義務付けるものとなっています。

著作権法

著作権法は、文学・美術・音楽・映像などの著作物に対する創作者の権利を保護し、その利用に関するルールを定めた法律です。著作権者の許可を得ずに著作物の利用を禁止しているなど、メディア運営やマーケティング活動を行う際に遵守しなければならないルールを確認する必要があります。

医薬品医療機器等法(旧薬事法)

医薬品医療機器等法は、医薬品や医療機器の製造・販売に関する規制を定めた法律です。消費者の健康を保護するために制定されており、製品の承認や販売、広告宣伝には厳格な基準が設けられています。例えば厚生労働省からの承認を受けていないサプリメントや化粧品、機器には厳しい表現の規制があります。

景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)

景品表示法は、消費者が景品や賞品を獲得することを目的とした営業行為において、不当な表示や虚偽の広告を防止するための法律です。くじや抽選、プレゼント企画などで景品や賞品を提供する際に、景品や賞品の表示方法や条件、提供の公平性に関する規定を定めています。また広告や宣伝においても、景品の内容や条件を正確に伝え、消費者を誤解させないようにすることが求められます。

まとめ

一人起業はチャレンジングな取り組みですが、成功すれば達成感と自己成長、そして世の中への貢献実感を得られる貴重なチャンスです。

今はインターネットが発達し、クラウドソーシングなどを活用すれば仕事の獲得も容易なため、リスクをデメリットを最小限にした起業がしやすくなっています。一方で多くの人が一人起業を始めているため、その中で継続的に売上を上げるには「他の人とはここが違う!」という差別化ポイントを明確にする必要があります。

スタートアップスタジオ「NOROSI」では、複数回の事業開発を経験したコーディネーターがあなたのビジネスの強みを探すお手伝いをします。「我こそは」という熱い起業家精神を持っている方は、必要な準備や手続きをしっかり把握した上で、自らのビジョンを追求してみてはいかがでしょうか。