
norosi DEMODAY 2024 Spring batchを開催しました
起業家コミュニティ「norosi」では3ヶ月に一度、起業家がビジネスの進捗をアピールする場「norosi DEMODAY」を開催しています。3月22日のnorosi DEMODAYでは6名のチャレンジャーがピッチに挑戦。本記事ではその様子をレポートします。
norosiとは
「実現したい起業アイデアはあるけど、何から始めたらいいのかわからない」
「専門家の力も借りながら、スピーディーに事業を立ち上げたい」
という人たちの起業のハードルをできる限り下げることを目的に作られた、事業立ち上げに必要なインフラをまるっと提供するスタートアップスタジオ(※)です。
・ビジネスアイデアの壁打ち
・信頼できるパートナー・支援者探し
・自治体との連携
・法人化の準備
など、事業開発の経験が豊富なnorosi事務局のメンバーが二人三脚で起業をサポートしています。
スタートアップスタジオについて詳しくはこちら
norosi会員のためのピッチイベント「norosi DEMODAY」
「norosi DEMODAY」とは、チャレンジャー(起業家)の方たちがビジネスの進捗やプロトタイプを発表するためのピッチイベント。
DOMODAYに参加したチャレンジャーは、プロサポーターから事業面でのアドバイスを受けられます。
また同イベントにはnorosi加盟自治体・企業も参加。連携や協業につながるマッチングの場となっています。
起業家たちがピッチに挑戦!
当日は7名がピッチを行い、プロサポーターからのフィードバックを受けました。
それぞれのチャレンジャーの発表とプロサポーターのコメントを紹介します。
利倉 加奈子さん(合同会社プランニング創)
「地方では観光コンテンツのコモディティ化・観光施設の放置など、様々な観光課題が存在します。そこで観光資源とデジタルを組み合わせたローカルイノベーションスポーツ=『LI*Spo』で、地域のアイコンとなるイベントの開催や宿泊を伴うコンテンツの開発を行いたいです。LI*Spoを通じて関係人口を増やし、地域経済の発展を実現できればと思います」
【プロサポーターからのコメント】
地方創生の新たな取り組みとして非常に可能性を感じました。地方展開を念頭に置くのであれば、宿泊施設やバス等の輸送事業者、自治体との連携が重要になりそうです。このプロジェクトが多くの外国人観光客を呼び込み、日本地域を活性化させるビジネスになることを期待しています。
鈴木 粋さん(株式会社モクジヤ)
「『お年玉』『おこづかい』『仕送り』など、子どもの学びを支援するために親御さんがお金を渡す機会は多くあります。しかし、それらのお金は娯楽や飲み会に消えることも多く、必ずしも有意義な経験に使われるとは限りません。そこで、親御さんが決済を承認したお店や商品だけを購入できるサービス『モクジヤペイ』を開発することで、第三者の想いが乗ったお金を機能させて『我が子の挑戦を応援したい』という想いを叶えたいと考えています」
▶︎関連記事:【モクジヤ・鈴木粋】新たな支援のエコシステムで、学びや体験がお金に左右されない世界を創る!
【プロサポーターからのコメント】
お金の利便性を限定することで新たなユーザーニーズを生み出していく、非常に面白いアイデアだと感じました。親御さんが閲覧するコンテンツや購入できる商品を選べるようにすると「子どもにこうなってほしい」という親の願望を押し付けてしまうプロダクトになってしまう可能性があります。「社会的影響力のある人が教育的観点からおすすめする商品」など、別の切り口でコンテンツを設計しても良いかもしれません。
大越 雄太さん
「少子高齢化が進む日本では、自治体経営が破綻する可能性がある『消滅可能性都市』が地方を中心に生まれつつあります。そこで、各自治体が遠隔で作業できる仕事(ベーシックワーク)を生み出し、社会的弱者に取り組んでもらう。そして労働の対価として給付金を渡すというサイクルを作ることで、地方創生と社会的弱者の自立を実現したいと考えています」
▶︎関連記事:【いねのこ・大越雄太】お米を繊維に加工!?「いねのこ®️」で日本の農業課題を解決したい!
【プロサポーターからのコメント】
大越さんの「日本社会を良くしたい」という想いが伝わってくるピッチでした。現状の社会保障(年金や生活保護受給)を完全に置き換える形でベーシックワークの普及を進めようとすると、ベージックワークでも働けない人を置き去りにしてしまうので、対象者の線引きも含めた制度設計が重要になりそうです。
福永 泰斗さん(桃山学院大学)
「世界には多くのムスリム(イスラム教徒)がいます。しかし彼らが日本へ観光に来ても『豚肉を食べられない』『アルコールは飲めない』といった教義があるため日本食を十分に楽しむことができません。そこでムスリムも食せる日本料理のハラルフードを各観光地の飲食店とともに開発し、多様な人が日本料理の世界を楽しめる世界を実現したいです」
【プロサポーターからのコメント】
日本がインバウンドに力を入れていること、かつムスリムという世界的にも大きなマーケットを狙っていることを含めて、今後のポテンシャルを感じさせるビジネスアイデアでした。サービスに対して実際にお金を支払うクライアントは飲食店の経営者になるので、飲食店側が考えるインバウンド対応の課題やインサイトを深ぼるとさらにサービスがブラッシュアップできると思います。
吉松 紗也佳(関西学院大学)
「人間の食料とは違い、ペットフードには法的な規制が存在していません。そのため今市場で流通しているドッグフードの中には、動物の健康に良くない素材を使用しているものもあります。そこで添加物・保存料不使用など、安全安心にこだわったペットフード『EMIWAN Foods』を開発し、あらゆる環境にいる動物たちが健康に悩まされない社会を作りたいです」
【プロサポーターからのコメント】
社会的な意義も大きく、吉松さんの想いが伝わるプレゼンでした。競合との最大の差別化ポイントである「食の安全にこだわっていること」が顧客にも伝わるように、プライシングやマーケティングの方法を検討すると良いでしょう。
鶴見 真慧さん
「強みを活かした営業スタイルを知らない、細かいミスに気付けないなどが原因で、頑張っているのになかなか成果が出ない営業マンがいます。そこで、彼らの失敗や挫折を糧にしてもらい、営業スキルの成長を促すためのプログラム『SIKUZIRI』を開発中です。『失敗学』の考えをベースにヘルスケアセンシングデバイス・各種学習ツール・コーチングを組み合わせ、自分の営業活動の分析と改善、習慣化を行えるようにしたいです」
【プロサポーターからのコメント】
テーマ設定が非常にユニークなビジネスアイデアだと感じました。SIKUZIRIが営業成績を上げるためのプログラムなのか、それとも営業マン個人のストレスマネジメントを目的としたプログラムなのか、SIKUZIRIを通じて実現したいことを明確にすると顧客や訴求方法がさらにクリアになりそうです。
松永 浩行さん(Offshore Liberty)
「全国には約20万隻の船があると言われていますが、そのオーナーの多くは燃料費や維持費などの負担に悩まされています。一方で近年はマリンレジャーや釣りを楽しむ人口が増えており、インバウンドの観光客も含めた大きなマーケットが生まれています。そこで両者をマッチングさせるサービスを立ち上げ、船のオーナーの課題を解決しながら多くの人が海を楽しめる仕組みを作りたいです」
▶︎関連記事:「人生最後の仕事を自分らしいものに」。元公務員が起業に踏み出せた理由
【プロサポーターからのコメント】
サービスの完成度が高く、ぜひ利用したいと思える内容のピッチでした。船の稼働率をいかに高めるかが今後の課題となりそうです。Z世代のインサイトとして「定番スポットではなく、穴場を見つけたい」というニーズもあるので、地元の人しか知らないスポットに行けるといった魅力付けをしても面白いかもしれません。
ピッチにチャレンジしたい方はnorosiで
それぞれがユニークなビジネスアイデアを発表し、プロサポーターの方にフィードバックをもらいながら自身のビジネスの可能性を広げた1日でした。
プレシード期特化型の起業支援パッケージ「norosi」では、定期的にピッチにチャレンジできる場を提供しています。またnorosi会員の方は、他のチャレンジャーの方のピッチを動画で閲覧することも可能です。
norosiに参画したい起業希望者の方、ビジネスのアドバイスをもらいたい方はエントリーフォーム、またはnorosi事務局に直接お問い合わせください。