
【自治体協業事例】養父市版スタートアップインレジデンス推進事業
養父市では都市部のスタートアップを呼び込み、自治体・地域事業者・住民と関わりながら共創することで、地域産業の振興や関係人口の創出・移住定住の促進を目指す「養父市版スタートアップインレジデンス推進事業」を展開しています。
アドリブワークスは22年度より養父市と関係人口創出の取り組みを進め、24年度は30件のスタートアップと地域事業者のマッチングを達成しました。
この記事では、本事業から生まれたスタートアップと地域の連携と、それらの創出を実現したアドリブワークスの支援内容を紹介します。
養父市版スタートアップインレジデンス推進事業とは
プロジェクト期間 | ・24年4月〜25年3月 |
プロジェクトのKGI | ・市内事業者等とのマッチング機会創出 12件 ・事業創出における伴走支援 8名 |
KGI達成率 | ・市内事業者等とのマッチング機会創出 250%(30/12件) ・事業創出における伴走支援 125%(10/8名) |
導入サービス | ・ビジネスプランジェネレーター「trivenAi」の提供 ・スタートアップスタジオ「norosi」の全プログラム ・ワーケーションツアー「hidane camp」の開催 ・DEMO DAYの運営 |
「養父市版スタートアップインレジデンス推進事業」では、「地方課題を解決するビジネスを立ち上げたい」「地方で事業を広げてみたい」という思いを持つスタートアップが養父市に集まり、地域と協働できるスタートアップエコシステムを構築しています。
日本の地方の共通課題にアプローチするビジネスの実証が可能なほか、国家戦略特区である養父市の特性を活かし、従来の規制にとらわれない新たなビジネスに挑戦できるなど、起業家にとって貴重な機会を提供する事業となっています。
24年度はスタートアップを「集め」、「市内事業者とつなぎ」、「養父市から事業を生み出す」施策を展開。市内事業者等とのマッチング機会を30件創出するとともに、起業家10名に対して養父市発の事業創出を目指した伴走支援を行いました。
本事業によって生まれたコラボレーションの一例
(株)Maison KasuYa×大徳醤油(株)|しょうゆかすを使ったコラボ商品の開発

出典:Shōyu Bit’s gelato(Maison KasuYa公式サイト)
兵庫県養父市にて伝統的な醤油醸造を行う「大徳醤油」と、粕・残り滓・端材などを活用した『かす』のコレクションカンパニー「Maison KasuYa」によるコラボレーション施策。
醤油の醸造家庭で発生する「醤油かす」を活用したアイスクリーム・チョコレートを開発しました。
(株)GOCCO.×BE SPACIES(株)|ロケットエンジンの燃焼実験を行う実験場の設置

実験場イメージ(プレスリリースより引用)
高高度気球を用いた実験プラットフォームを運営する「GOCCO. 」と、養父市に本社を構える小型ロケット開発会社「BE SPACIES」が、気球と小型ロケットを組み合わせた安価な打ち上げ技術の確立を目指し、市内に実証実験場を整備しました。
こうした新産業領域への挑戦は、地域における雇用創出や人材誘致にもつながると期待されています。
tourcandy(株)×(株)谷常製菓|インバウンド向け和菓子の開発と誘客施策の実施

出典:Klook
インバウンドに特化した集客・誘致プラットフォームを運営する「tourcandy」と、養父市の老舗和菓子店「谷常製菓」によるコラボレーション施策。
訪日個人観光客を養父市に誘客するべく、既存の和菓子作り体験プログラムを海外客向けに開発。海外観光客向けレジャーサイトに情報掲載を行いました。
今後取り組み事業者は増える予定で、これまでインバウンド観光客向け施策が限定的だった養父市における新たな外需獲得の取り組みとして期待が高まっています。
Eco Slide(株)|中山間地における移動課題解決のための電動バイク・スクーター活用の実証検討
免許不要のマイクロモビリティ製品を開発する東大発ベンチャー「Eco Slide」が養父市を訪れ、地域住民向けに電動スクーター・電動バイクの試乗会を実施しました。
今後は中山間地における移動課題解決のための電動バイク・スクーター活用の実証実験が検討されています。
そのほかのプロジェクト
企業 | 概要 | 関連リンク |
(一社)観光クロスオーバー協会×マリオット・インターナショナル・ジャパン×(一社)日本教育支援機構 | 「フェアフィールド・バイ・マリオット・兵庫但馬やぶ」にて農業体験型金融教育イベント「やぶチャレ」の実施 | プレスリリース |
(株)POI×ほたるの館 | 自然体験施設にてほたる観察会イベントの実施 | プレスリリース |
(同)S FARMS×やぶ市観光協会・やぶパートナーズ(株) | 商品開発や都市部へのポップアップストア出店の検討 |
地域課題とnorosiの取り組み
一過性の関係では終わらせない、養父市が仕掛ける共創型スタートアップ支援
人口減少や高齢化といった地域課題の解決に向けて、多くの自治体が関係人口の創出に取り組んでいます。
しかし、短期のワーケーションや地域体験イベントを通じて一時的な交流が生まれても、その後の関係が続かず、地域との接点が途切れてしまうケースが多いという課題がありました。
こうした中で養父市では、地域資源を活かしたビジネスの共創を目的に訪れる起業家に対してマッチング支援を行い、「地域発の事業の担い手」として継続的な関係を築くスタートアップインレジデンス事業に取り組んでいます。
本事業におけるスタートアップ創出の取り組みプロセス
本事業の取り組みを推進すべく、全国からスタートアップやフリーランスを対象としたビジネスプランコンテスト・リバースピッチイベントを開催しました。
またスタートアップイベント「Startup JAPAN EXPO」へ出展し、市の取り組みを広く発信した結果、訪問希望者を43名獲得。ワーケーションツアーを通じた地域内事業者とのマッチングにより、24年度末時点で5社の案件化を実現しました。
加えて、コンテストの受賞者や訪問者のうち、希望者に対して「norosi」の伴走支援プログラムを提供。
単に起業家と地域事業者とのマッチング機会を作るだけではなく、事業アイデアの立案から実証・事業化までを一貫して支援する体制を整備することで、地域に根ざした持続可能なビジネスの実現を後押ししました。
これらの起業家との協働を通じて、養父市の地域企業や住民の間でもスタートアップビジネスや新産業に対する関心が高まるなど、地域と起業家のマッチングが双方にとってポジティブな循環を生み出しています。
アイデアをカタチにできるスタートアップ拠点「triven Fab」
「triven Fab(トリブンファブ)」は、アドリブワークスが運営する養父市のスタートアップ拠点です。
一般的なコワーキングスペースと同様、ミーティングスペースや集中できる作業エリア・イベントスペースのほか、3Dプリンターやレーザーカッターなど、ものづくりに必要な最新機材が揃う「FAB LAB」を設置。
思いついたアイデアのプロトタイプ(試作品)をすぐに作れる場として、地域の人たちだけでなく、全国から新しいことに挑戦したい人や企業が集まる場となっています。
triven Fabについて詳しくはこちら
プロジェクトハイライト
hidane camp
最終成果発表会
まとめ
アドリブワークスでは自治体・企業・そして起業の志を持つ個人の方に対して、再現性高く事業開発を進められるエコシステムを提供しています。
協業をご検討する自治体の方は、アドリブワークスコーポレートサイトのお問い合わせフォームからご連絡ください。