【徹底討論】スタートアップの仲間集め、 業務委託派? 正社員派?
とにかく忙しく、時間に追われがちなスタートアップ。
事業計画の策定やサービスローンチをしている人ならなおさら、「いずれはメンバーを増やしたい」と考えると思います。
そのとき考えなければならないのが「業務委託を活用するのか?それとも社員を雇うのか? 」という問題です。
今回は起業家コミュニティ「NOROSI」に所属している起業家が、社員雇用と業務委託それぞれのメリット/デメリットを徹底討論!
実際に正社員雇用や業務委託活用をしている人たちならではの意見を聞いてみましょう。
今回の討論メンバー
業務委託派:Kさん
制作会社の代表を務めながら、NOROSIにて新規ビジネスの立ち上げ準備中。
業務委託パートナーのみで事業運営を行っている。
「正社員制度はなくなった方が良いと思っているので、負けません!」
正社員派:山岡
株式会社アドリブワークスの代表。数名の社員+業務委託パートナーで事業を運営している。
「どんな意見も論破します」という意気込みのもと、今回は正社員派で討論に参戦。
本記事は、起業家同士の交流やナレッジシェアの場としてNOROSIが隔週で開催している「HIDANE meetng」内のディベート企画を記事化したものです。 あくまで「どちらがより観覧者からの支持を得られるか」という観点から意見を述べており、記事内での発言は本人の本来の意見が反映されているとは限りません。
スタートアップで業務委託を活用するメリット
Kさん:
業務委託のメリットは人件費を抑えられることですね。スタートアップは収入も安定していないので、社会保険料も含めた固定の人件費を抱えるのは絶対に避けた方が良い!
そしてもう一つ、「合わない人を雇用してしまうリスク」を軽減できるのもメリットです。日本は正社員への保障が手厚いので、一度雇ったらなかなか解雇できないんですよね……。
たった一度や二度の面接で人を見極めるのは難しいからこそ、「いきなり雇用」はリスクが大きすぎるかなと。
業務委託のメリットとして「コストが安い」「失敗時のダメージが少ない」ことを挙げたKさん。
ここで山岡から反論が……!
山岡:
僕も業務委託パートナーと一緒に仕事することもあるので、気持ちは分かります。
ただ、本当に業務委託が一番コストが安いのかは正直疑問ですね。
業務委託の方に色々頼むにしても「この金額では受けられないから、上げてほしい」という交渉はたびたび発生します。
結果的に、正社員一人分と同じ仕事量を業務委託の人にお願いすると、かえってたくさんのお金が出ていくこともある。
Kさん:
ぐぐっ……! 確かに委託費で苦労した経験、うちにもあります。
雇用であれ業務委託であれ、どうコストを最適化するかという視点はシビアに持たないといけないですね。
山岡:
仕事を細かく切り出して委託費を下げることもできますが、切り出した仕事を確認して取りまとめる手間も増えます。
それを考えると、きちんと動ける正社員1人に権限を渡したほうが結果的にコストは下がることは往々にしてありそうですよね。
「業務委託でもコストがかさむことはありえる」と山岡の指摘。
もう一点の「失敗時のダメージが少ない」という意見にも追撃します!
山岡:
雇用のリスクやトラブルに関しても、事前説明や雇用契約の整備をすれば十分回避できます。
最近は日本の法律も変わってきているので、
「もしかしたら1年もたないかもしれないけれど、それでもよければ雇用します」
「会社がこうなった場合は雇用契約を解除します」
といった話がしやすくなりました。
そういった現状を考えると「業務委託だから優位性がある」ということは徐々になくなりつつある気がします。
スタートアップで正社員を雇用するメリット
山岡:
スタートアップに限った話でいうと、投資家から見てそのスタートアップが信頼できるかどうかが重要じゃないですか。
そのときに社員を雇用した方が本気度が伝わると思うんですよね。
興味を持ってくれた投資家から「メンバーはどうするんですか?」と聞かれたときに「とりあえず業務委託で何人か集めてこようと思ってます〜」と答えるか、「重要なスキルを持つこの人を採用します!」と答えるかでは全然印象が違う。
業務委託で成立するのはスタートアップではなく、積み上げ型のスモールビジネスかなと。
出資を受けながらお金を得て1〜2年目に赤字を掘りながら、3年目以降に急激に成長するエクイティ型のスタートアップを想定するなら、正社員を雇う方が合理的だと思います。
Kさん:
こ、このタイミングで「スタートアップの定義」から切り崩されると反論できない……!
山岡からは「投資家からの見え方」という新たな切り口が飛び出しました。
さらに、スタートアップの人的資源のリスクについても持論を展開します!
山岡:
雇用に失敗したときのリスクを考えがちですが、大事な仕事を任せている人が、いきなりいなくなってしまうことこそスタートアップ最大のリスクじゃないですか。
特にスタートアップの場合だと、仕組み化する前の段階だからこそ「その人がいるから仕事が回っている」状況はよくありますよね。
そんなときに業務委託の人に「もう無理です」「就職しちゃいました」と言われてしまうと、もう引き留めるのは難しい。このリスクが一番大きいと思っちゃいます。
Kさん:
うーん……。確かにそれはそうですが、社員でも「転職します」と言って、次の日から急に来なくなる人はいますよね。そこはそんなに関係ないかな。
ただ、社員であれ業務委託であれ、手放したくない人材に対して「この会社に留まり続ける理由」をきちんと提供することは大切。
一緒の夢をどう追いかけてもらえるか、自分の会社の経営でもその点はめちゃくちゃ意識していますね。
まとめ:どんな契約形態であれ「ヒト」の活用には起業家の経営手腕が問われる
山岡:
Kさんのおっしゃる通り、エンゲージメントをどうメンバーから引き出すかは経営者の経営ノウハウの部分。ここは「業務委託だから」「社員だから」とかは関係ないですね。
Kさん:
結局誰に何を任せるにしても、経営者の人としての魅力はすごく大事だなと思います。
また人に何かを任せることは、リスクを背負いながら「カネ」「ヒト」という大きな経営資源を動かすということ。
色々な失敗を経て、起業する前に経営やマネジメントについて学んでおけばよかったと感じたことを思い出しました。
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