スタートアップ、社長が目立つ必要って本当にあるの?【徹底討論】
目立つ髪型で奇抜なファッションを身にまとい、イベントやSNSでの継続的な発信によって影響力を強めていく……。
スタートアップの社長の中には、自分をキャラクター化することで外部への露出を増やし、ビジネスチャンスを掴んでいる人が多くいます。
SNSによって個人のメディア化が進んだ今、「社長のブランディングをどう進めていくか」は経営を考える上で重要な論点の一つと言えるでしょう。
一方で「グイグイ人前に出るのが苦手」という人がいるのも事実。
そこで今回は起業家コミュニティNOROSIに所属している起業家が「社長は自分をキャラクター化して露出していく? それとも影武者に徹する?」というテーマでディベートを開催!
実際に社長業をやっている方たちから、社長のブランディングに関するリアルな意見を伺いました。
本記事は、起業家同士の交流やナレッジシェアの場としてNOROSIが隔週で開催している「HIDANE meetng」内のディベート企画を記事化したものです。 あくまで「どちらがより観覧者からの支持を得られるか」という観点から意見を述べており、記事内での発言は本人の本来の意見が反映されているとは限りません。
この記事の目次
今回の討論メンバー
社長は積極的に露出する派:山岡
株式会社アドリブワークスの代表。金髪がトレードマークにもかかわらず、SNSのアイコンをはじめとする宣材写真はいつまでも黒髪。
「どんな意見も論破します」という意気込みのもと、今回は社長は積極的に露出する派で討論に参戦。
社長は影武者に徹する派:Mさん
IT系企業の社長を務める。
NOROSIにて新規ビジネスの立ち上げにチャレンジしており、最近サービスをリリースした。実はとても意外な経歴の持ち主。
社長は影武者に徹する派:栗山
スタートアップスタジオ「NOROSI」のコーディネーター。
現在は無農薬ライムやスペシャリティカレー「otsucurry」など、自身が手がけた商品のPR〜出口開拓に奮闘中。
ショートカットと明るい色のワンピースがトレードマーク。
社長が積極的に露出するメリット
山岡:
社長が自分のキャラを明確に作って押し出すメリットは、ビジネスが軌道に乗りやすくなること。
例えば会社名やサービスが世の中に浸透していなくとも、自分のキャラクターを知ってもらっていれば「あの社長面白いよね」「最近よく見かける」と注目してもらえ、声をかけてくれる人も増えます。
Mさん:
確かに最初は社長が前に出て、どんどん露出していくべき場面もありますよね。ただ一方で、会社としてどこを目指すかによって社長が取るべき行動も変わってくると思ってて。
例えばIPOなどを目指す場合、社長個人の頑張りや知名度だけで戦っていくのは限界がある。一番最初はそういった露出に頼ってもいいけど、最終的には組織作りや仕組み化に力を入れた方が会社として成長すると思います。
「自分を覚えてもらうことでビジネスチャンスが広がる」と山岡。
一方でMさんは「社長の知名度の高さはビジネスの成長においてそこまで重要ではないのでは?」と彼の主張に疑問を呈します。
山岡:
おっしゃる通り、社長の知名度はビジネスのきっかけ作りに役立つのであって、これ一本で会社を大きくできるものではありません。
ただ、入り口は社長のキャラクターだったとしても、そこからサービスや自分の実現したい世界に興味を持ってもらえればいいんです。そういう意味で、社長個人が影響力を持つことはスタートアップにとって大きな武器になる。
僕自身も金髪で色々なイベントに参加するようになってから、人に覚えてもらえるようになり、声をかけられることも増えました。
これが普通の髪だったら「あの人山岡さんっぽいけど、違うかもしれないから話しかけるのはやめておこう」ということになってしまうと思うんです。
そういうチャンスって案外たくさん世の中にたくさんあるのに「印象に残らない」「気づかれない」せいで埋もれてしまっているんじゃないかな。
自身の経験も踏まえて「社長として目立つこと」のメリットを語る山岡。
また、もう一つのメリットである「人前に立つことへの慣れ」についても言及します。
山岡:
また経営者の仕事の一つに、様々なステークホルダーに自分の言葉を伝え、納得してもらうことがあります。ピッチや株主総会など、経営者であれば必ず人前で話すことは避けられません。
そんな中で社長がずっと影武者に徹してしまうと、いざというときに自分の意見を堂々と話せなくなってしまいます。それこそ大きな機会損失なのではないでしょうか?
社長が積極的に露出するデメリット
Mさん:
私は「社長は絶対に影武者に徹した方が良い」というわけではなく、「知名度があればいいとは思うけれど、無理して知名度を上げようとする必要はない」という立場です。
山岡さんが上げてくださったメリットもわかるけれど、それでも「社長のキャラクターを押し出す」ことがスタートアップとして優先度は高くないと思っています。
私は、社長の最大の仕事は「意思決定」だと思っているので、自身をキャラクター化してどんどん拡大するというのとは方向性が違うなと。
栗山:
実際にMさんも、ご自身の知名度に頼らずともしっかり会社を作っていらっしゃいますよね。
サービスをどんどん表に出していくことができるのであれば、あえて社長のキャラを立たせる必要はなさそうだと思ってしまいます。
Mさん・栗山からは「限られたリソースを割いてわざわざ社長のキャラ化を推進する意味はない」という意見が。
さらに「知名度が上がることによるリスクもある」と追撃します!
栗山:
社長のキャラクターが前に出れば出るほど、社長の好感度と企業のブランドが直結することになりますよね。そのとき社長自身のスキャンダルは後々大きなリスクになりえます。
社長が聖人君子とも限らないので、何か不祥事やトラブルを起こしたときに企業の成長の足枷になってしまいます。
もちろん「社長インタビューを受けてください」などの依頼があれば出る必要があると思ういますが、その会社の「顔」となる存在を作っていきたいのであれば、マスコットキャラクターを作ったり、会社用のVtuberを作ったりすればいいのでは?
山岡:
いやいや、リスクを先に考えて「だから人前に出ない」という選択肢をはじめから選んでしまうのはもったいないですよ! 自分自身が「スキャンダルを起こさないようにしよう」「誠実に生きよう」と思えばいい話なんですから。
むしろ、積極的に露出すればするほど「誰がどこで見てるかわからないから、いつでもちゃんとしよう」という感覚になると思います。
人の目に晒されることで経営者として、また人として成長していくという側面もあるので、社長が人前に立ち続けることは結果的に会社の成長につながるはずです。
まとめ:戦略的に取り組むのがベターだが、無理をする必要はなし!
山岡:
皆さんが知っている社長のキャラが前面に立っている会社で、「この会社微妙だな」という会社ってありますか?
アパホテルの社長やソフトバンクの孫正義さん……。成功している人の顔がどんどん思い浮かぶと思います。
社長の注目度が高い会社は元気があっていい会社だと思うので、ぜひ果敢に挑戦してみてほしいですね。
Mさん:
その二人の名前を出されると、確かにインパクトがありますね(笑)。
もちろん、社長業において人前で話すことが必要な場面はいくつかありますが、私自身の感覚としてはビジネスをしていて「社長個人のイメージ戦略」が必要だったシーンはなかったです。
ご自身の性格にもよりますが、人前に出るのが得意ではない人は無理してその機会を増やさなくてもいいのかなと思いました。
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