創業者オタクが今月読んだ起業本#06「トラクション:スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル」
スタートアップ企業の代表を務めながら、様々な会社のリーダーや創業ストーリーを追いかける「創業者オタク」としても活躍する鈴木粋さんに、今月読んだおすすめの本を伺う本連載。
第六回目となる今回は、自身の活動にファンや顧客をつける手法を掘り下げる「トラクション:スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル」を取り上げます。
プロフィール
鈴木 粋(すずき すい)
2000年、京都に生まれる。創業者オタク。2023年8月、株式会社モクジヤを設立。創業者向けのサービスとして、創業者ご自身の半生をグラフィックレコーディングにして提供。そのグラレコ制作の過程で得られた創業者のロールモデルを「キャリアへの考え方」「お金/時間の使い方」「挑む心持ち」の三軸で分析し、創業者データベースを作成中。それらのデータを切り出して、創業者オタクサイト「FOUNDER’s FANPAGE(ファウンダーズ・ファンページ)」にて発信も行う。
今月の起業本:トラクション:スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル
今回、創業者オタクである私、すずき すいがご紹介する本は、自身のビジネスでファンや顧客を獲得するためにどうすれば良いか、迷いがちな人必見の「チャネル」に関するものです。
ところでみなさん、自分のビジネスに顧客が生まれる世界をイメージできますか?
すでに顧客が一定数いる人は、さらに顧客やファンが増えた時の世界をイメージできるでしょうか?
案外、自分自身が満足しているだけの活動になってしまい、周囲からの反応が芳しくないケースも多いのではないでしょうか。
特にスタートアップとして、これまでにないようなユニークなことを始めるとなると、初期からファンや顧客を作るのはなかなか難しいものです。
前回の記事で、「好きなことを好きなことで終わらせない、そのためにしっかりとフレームワークに落とし込んで考えてみる」という工程を挟みました。
そこから顧客を獲得するには、フレームワークによって「好き」から形づくられたビジネスを実際に世の中に発信して、知ってもらう必要があります。
そのための手法を「チャネル」と呼び、今回ご紹介する本では19あると言われているチャネルについて紹介しています。
具体的な発信方法、そしてそこからファン・顧客を獲得する方法を知り、何度も施行錯誤を重ねることで、あなたが思い描いた世界は世の中に広がっていくことでしょう。
本書は、前回までの記事でご紹介した書籍を読み、自分のビジネスもしくは活動の形が一旦決まった段階で読むと良いでしょう。
自分のビジネスを実際に世に打ち出していこうと決心し、その決心を実現に落とし込んでいく次の一歩として読んでいただけるとさらに有効かと思います。
この「トラクション:スタートアップが顧客をつかむ19のチャネル」は、名前の通り、トラクション(ファンや顧客)を獲得するべく、誰もが実践できる19通りの手法が、試し方なども併せて紹介されています。
前回の記事でも述べましたが、ビジネスを始める上で一番大切なことは「実践してみること(動いてみること)」です。ただ、自分の活動やビジネスのファンや顧客を掴むためにまずするべきことというのが、そもそも分からないという人もいるかと思います。
まさにあなたが「さぁ、提供できるサービスを発信して顧客を獲得しよう!でも、何からはじめれば…」となったとき、あなたの道しるべとなってくれるのが、この一冊です。
この本は、章ごとに様々なチャネルについて紹介されています。
- バイラルマーケティング
- PR
- 規格外PR
- SEM
- ソーシャル/ディスプレイ広告
- オフライン広告
- SEO
- コンテンツマーケティング
- メールマーケティング
- エンジニアリングの活用
- ブログ広告
- ビジネス開発(パートナーシップ構築)
- 営業
- アフィリエイトプログラム
- Webサイト、アプリストア、SNS
- 展示会
- オフラインイベント
- 講演
- コミュニティ構築
計19の手法を監修しています。それぞれの章に「まとめ」があり、初心者でも分かりやすい仕様になっています。
実際に、創業者オタクでかつ、株式会社モクジヤの代表である私も、この本を参考に色々なことを試しています。
まだ大きく成果に繋がったわけではありませんが、実際にGoogleの検索で「創業者オタク」や「創業者オタク」「モクジヤ」などと検索すると、自分たちが上位に出力されます。それによってお仕事でどなたかとご一緒する時に、良い方向に繋がったケースも多々あります。
つまり、SEOをしっかり計画して進めていくと、相手に与える信頼度も増し、良い展開に繋がるというわけです。このように、小さなことのようで、後々、大きく影響の出る仕掛けを作っていくためには、やはり、手引書のような本書が一冊あるだけでも、非常に動きやすいものです。
またトラクション獲得のためのチャネルは、個別に切り離されたものという考え方ではありません。各社は、色々なチャネルを使い分けたり、連携したりして、自社のサービスや商品にファンや顧客をつけていきます。
私も未熟ですが、WEBサイトもしっかり整えていこうと日々、試行錯誤しています。前述のSEOで会社のWEBサイトに来てくれた人が、そこから次のアクションを起こしてくれるように仕向けていく必要があります。
そんな戦略を練りながら、チャネルの組み合わせを考えたり、自分に合うやり方を見つけていきます。
このチャネル選びや活用方法、戦略が上手く作用すれば、自分が「面白い、楽しい」と思うことが世の中に広く届く可能性があるわけです。それだけでもワクワクしてきます。
日々、この本にかじりつきながら、あれやこれやと試していく内に要領も掴めてくることでしょう。
自分の伝えたいことが世に伝わり、価値を感じてお金を支払ってもらうことで、さらに良いモノを広く届けられるようになる。この循環に欠かせないのが、まさにトラクションの獲得であり、そのためのチャネルを用いた検証です。
「あなたのしたいこと・好きなこと」と「世の中が求めていること」、そして「それらを検証する術」をトラクション獲得のチャネルという形で頭に入れておけば、あなたの挑戦の第一歩目を飛躍させるのに役立つことでしょう。
より健やかな日常に、より良い挑戦を。