
【23年度】NEXTスタートアップえひめ成果発表会 ビジネスプランコンテストを開催しました
「新しい価値を生み出す、愛媛県内発のスタートアップ」の創出を目指したプログラム「NEXTスタートアップえひめ」。4か月間の育成プログラムを終え、2024年2月6日に成果発表会としてビジネスプランピッチコンテストが開催されました。
当日は採択者31組の中から選ばれたファイナリスト6組がピッチを披露しました。本記事でそのイベントの様子をレポートします。
NEXTスタートアップえひめ ビジネスプランピッチコンテスト結果発表
会場は愛媛県東温市見奈良にある「Great Sign坊っちゃん劇場」。当日は自治体関係者やマスコミ、金融機関など約150名を超える観覧者が愛媛発のスタートアップが生まれる瞬間を見守りました。
最優秀賞:井川 桃花さん
「NEXTスタートアップえひめ ビジネスプランピッチコンテスト」の最優秀賞は井川 桃花さんに決定しました。
(プロフィール)
2020年にUniversity of Tasmania 卒業。四国ケージ株式会社及び合同会社liveRにて、畜産業や農業などのさまざまな現場作業を経験。研究員として愛媛大学との共同研究や愛媛県産業技術研究所に参画。現場と研究の日々で見つかる様々な産業の課題に着目し、それを解決するため起業を決意。第6回四国アライアンスビジネスプランコンテスト最優秀賞を受賞。令和5年度特許庁I-OPEN PROJECT23に採択。
ビジネスプラン:廃棄物を資源に生まれ変わらせ、世の中のあらゆる課題を解決
畜産・農業の資材不足や高騰、コーヒー産業の廃棄問題、焼却ゴミ問題など、多岐にわたる課題を、オリジナル技術で解決するビジネスプラン。
廃棄される未利用資源を活用し、抗酸化成分保持の飼料や悪臭防止の敷料や、紙素材・生分解性素材・有機物の効率的分解を可能にするオリジナル資材を開発、日本国内のみならず世界中の多様な課題を解決するビジネスを展開していく。
NEXTスタートアップえひめの参加を終えて
「プログラムに参加する中で、自分一人では見逃していたビジネス上の課題やメリットに気づく機会がたくさんあり、とても勉強になりました。プログラム中だけではなく、プログラムが終了した後にもつながる協業可能性についてもディスカッションできたことが印象に残っています。今回は参加させていただき誠にありがとうございました」
優秀賞:中村 唯衣那さん
「NEXTスタートアップえひめ ビジネスプランピッチコンテスト」の優秀賞は中村 唯衣那さんに決定しました。
(プロフィール)
山口県出身、東京外国語大学卒業。特許翻訳者。家族の転勤で2016年から6年間伯方島で暮らす。そこでトップ漁師本純一氏と出会い、丁寧に処理された魚の美味しさに感動するとともに、地域社会や漁業を取り巻く状況の悪化に危機感を抱き、問題解決に貢献したいと思うように。
ビジネスプラン:トップ漁師とトップシェフが贈る『ローカル水産ガストロノミー』
超高鮮度だからこそ味わえる多種多様な魚介を使った突出した美食で、都市からしまなみ地域への人の流れを作り、地元事業者との連携でシェフも顧客も関係人口化させるビジネスプラン。
未知なる美食食材や新しい漁業者像をプロデュースすることで、過剰漁獲や担い手不足で苦しむ日本の漁業や一部のブランド水産物に依存する現行の美食産業に新風を吹き込む。
NEXTスタートアップえひめの参加を終えて
「参加前はここまで親身になってくれるとは思っていなかったので、本当にありがたく思っています。この4ヶ月で『こんなことができたらいいな』というものだったビジネスアイデアを、収支計画や事業計画などを織り込んだより具体的なプランに仕上げることができました。一人で取り組んでいたらここまでブラッシュアップできていなかったと思います。今回はこのような機会をいただきありがとうございました」
古坂大魔王賞:佐野 涼香さん
「NEXTスタートアップえひめ ビジネスプランピッチコンテスト」の古坂大魔王賞は佐野 涼香さんに決定しました。
(プロフィール)
愛媛大学看護科卒業。大学病院小児科勤務の後、母の死を機に放課後等デイサービス「ツムグ志津川ひろば」を立ち上げる。療育の現場に携わる中、ユニセフ調査による日本のこどもの精神的幸福度の低さや自殺率の高さ、それでもなお変わらないこどもたちを取り巻く環境に疑問を持つ。
ビジネスプラン:幸福度向上を目指す新時代の子育てサービス スクール起業家育成事業 joypoi(ジョイポイ)
少子化にも関わらず、こどもの幸福度が低い日本において、学童・学習塾・病児保育・育児相談を統合し、こどもたちが主体的に学び、発言、実社会にコネクトすることができるサービス「joypoi」。
共働き世代のコミュニケーション不足や学習環境の問題を解消し、こどもたちの主体性と幸福感向上を追求する新たなサービスを提供する。
NEXTスタートアップえひめの参加を終えて
「プログラムに参加することで頭の中が整理され、『いつかやりたいな』とぼんやり思っていたことの根幹となる想いを言語化できたことが最大の収穫でした。参加当初は今の形とは違うビジネスアイデアを考えており、方向性を迷うこともあったのですが、アドバイザーの方に『佐野さんらしく、やりたいようにやろう』という言葉をいただけたおかげで最後まで走り切ることができました」
ファイナリスト:河野 亮二さん
(プロフィール)
2000年コニカミノルタ株式会社に入社。エンジニアとして技術開発に従事。全社中期計画策定、新規事業創出を担当。コロナを機に、故郷松野町でリモートワークを開始、祖父と植林をした山の中で過ごす中で、100年後に残る事業を作りたいと思い起業を決意。
ビジネスプラン:間伐材を用いた備蓄燃料供給システム〜持続可能なエネルギーで環境にやさしい選択を
自然災害を誘発しやすい放置森林の間伐材を活用した備蓄燃料供給システムを開発中。
安価に作られた薪と小型ボイラーを使い、災害時だけでなく平時の持続可能なエネルギー供給として、効率的かつ環境にやさしい暖房・発電ソリューションを提供し、カーボンクレジット市場に参入していく。
NEXTスタートアップえひめの参加を終えて
「会社の設立や事業のピボットなどがあり、スケジュール面でもビジネス面でも難しい局面に迫られることが多かったですが、このプログラムがビジネスの加速装置になってくれました。プログラムに沿ってビジネスを磨き上げることで、やりたいことがどんどん明確になる感覚がありました。今回はサポートいただきありがとうございました」
ファイナリスト:重松 隆正さん
(プロフィール)
明治大学理工学部応用化学科卒業後、プライム市場上場のディスクロージャー支援企業に勤め、複数の上場企業のIR関連業務に携わる。2018年より、事業承継のために新光ビニール株式会社にUターン。甲種危険物取扱資格取得者。学生時代に知った貝の研究経験から、廃棄貝問題に強い関心を抱くように。
ビジネスプラン:「すてる」があたりまえの貝殻を循環資源に!農業と環境に新しい価値を創造するカイリキプロジェクト
全国シェアトップクラスの真珠養殖を誇る愛媛県では、年間で推定約280tものアコヤ貝の殻の廃棄がある。
廃棄貝殻から液体肥料を製造する技術を確立し、真珠業者や飲食店からの効率的な廃棄貝殻回収、農家に肥料を提供し、肥料で生産された野菜を再び飲食店に販売する循環型ビジネスの構築を目指す。
NEXTスタートアップえひめの参加を終えて
「プログラムを通して、『ビジネスを立ち上げるために何をやらないといけないか』を明確にできたのが非常に助かりました。農業分野の肥料分析ができる会社や肥料の実証実験ができる農場を紹介いただくなど、今後のビジネスの成長につながる協業の機会をいただけたこともありがたかったです」
ファイナリスト:田中 ゆかりさん
(プロフィール)
ニューヨークでの個展実績があるビーズ講師の他、日本デコずし協会カリキュラム委員を務め「野梨真掛子」として5冊を出版。SDGs公認ファシリテーターに認定されたことを機に、大量消費時代を過ごした自分だからこそ、持続可能な生活への転換を促す事業を通して、未来に貢献したいと思うように。
ビジネスプラン:世界中、誰もが”手元”から気軽に取り組めるエコフレンドリーなBAGシステム
自宅に大量に眠っている紙袋を簡単に、普段使いのバッグに変身させることができるパーツを開発・販売。
不要な紙袋を再活用し、企業の新たな広告媒体として発信、利用ができるオンラインプラットフォームを構築するとともに、環境への配慮、顧客との共創を実現するサステナブルなビジネスプラン。
NEXTスタートアップえひめの参加を終えて
「今までビジネスの立ち上げに取り組んだことがなかったので、立ち上げ方を順序立てて学べたことがとても勉強になりました。ビジネスのことで困り事があったときに、安心して相談できる環境があったのも非常に心強かったです。自分のビジネスに思い入れがあればあるほど『自分の考えていることが正しい』と無意識に思いがちなので、第三者からの客観的な意見をもらえて助かりました」
EGFアンバサダー 古坂大魔王さんからのコメント
(プロフィール)
EGFアンバサダー 古坂大魔王
1992年お笑い芸人「底ぬけAIR-LINE」でデビュー。ピコ太郎プロデューサー。文部科学省・CCC大使、総務省・異能vation推進大使。現在はバラエティ番組をはじめ、コメンテーターとして情報番組への出演、世界のトップランナーと音楽、エンターテインメント等についてトークセッションを行うなど、幅広い分野で活躍中。また愛媛県内でも野球拳おどりの総合監修として活動を行う。
「僕自身も地元・青森県で高級リンゴを生産するプロジェクトをやっているからこそ、地方にいる人たちが地方を盛り上げるアイデアを考え、発表し、それを応援する場が必要だと常々思っています。今回登壇した出場者はどの方も非常にパワフルで、いい意味で生意気(笑)! こういう方々がいると、日本の地方も安心感がありますね。このコンテストを見たり、この記事を読んだりして『自分も何か始めたい』と思った人は、今すぐ最初の一歩を踏み出してほしいですね」
ビジネスプランピッチコンテスト 総合司会 高岡奈々葉さんからのコメント
(プロフィール)
高岡奈々葉
愛媛県松山市出身・在住。愛媛大学4年生。年間50本以上のMC実績を持つ、地域創生ライブコマーサー。ANA、レデイ薬局、愛媛県ほか大手企業や自治体のライブコマース企画・MC実績多数。オーディションディレクターやライブコマーサー育成講師も務める。柑橘ソムリエ。国内最大級のミスコン“2022 Miss Japan”のミス愛媛・日本大会準グランプリ。FRESH CAMPUSCONTEST2020準グランプリ。
「今回発表されたビジネスプランは、愛媛に住んでいるからこその着眼点や課題を解決しようとするものが多く感じました。同じく『愛媛を盛り上げたい』と思っている者として、このようなビジネスが生まれようとしているのはとても嬉しいですね。愛媛県は秘湯や水産資源、自然など魅力的なものがたくさんありますが、それが十分に伝わりきらないことも多いです。私も愛媛の魅力を発信する一員として、今日出会った方たちと一緒に愛媛を盛り上げていければと思います!」
愛媛からスタートアップの狼煙が上がる1日に
「EXTスタートアップえひめ ビジネスプランピッチコンテスト」は、ハイレベルなビジネスプランが競い合うコンテストとなり、愛媛県から世界へ飛び立つスタートアップが創出する可能性を大いに感じる場となりました。
これからも愛媛発・スタートアップの挑戦にご期待ください!