【メンバー紹介:北川 渚】意志ある決断の積み重ねが、起業家の「芯」を育んでいく
アイデア段階から挑戦できるスタートアップスタジオ「norosi(ノロシ)」では、ビジネス立ち上げの経験が豊富なメンバーがコーディネーターを勤め、それぞれの経験を活かしながらアイデアの事業化をサポートしています。
今回はnorosiのコミュニケーションマネージャーとして日々起業家と向き合う北川に、これまでのキャリアや起業家支援に込めた想いを聞きました。
プロフィール
北川 渚
商業施設運営会社にてカスタマーサービスの現場リーダーとして勤務。サービスに関する資格を複数取得し、繁忙期はチームで一日千人を超える顧客対応を行う。その経験を活かし、現在はアドリブワークスのコミュニケーションマネージャーとして従事。SUの皆様のお役に立てるよう日々勉強中。
北川さんの自己紹介をお願いします!
北川:スタートアップスタジオ「norosi」でコミュニケーションマネージャーを担当する北川です。
「norosi」に参加する起業家の方々からの質問に答えたり、その人のステージにマッチするプログラムをご案内したりといったコミュニケーションのほか、起業家のためのマッチングサービス「triven」などに寄せられるお問い合わせの対応も行っています。
「norosi」では常時30組以上の起業家さんたちがプログラムを受けており、各々のビジネスの進捗状況は日々変化しています。
彼らとのコミュニケーションを絶やさないようにしながら「今、どの地点に立っているか」「どんなサポートを必要としているのか」をリアルタイムで把握し、コーディネーターと連携しながら必要なサポートにつなげること。
これがコミュニケーションマネージャーとしての最大のミッションです。
どんな学生時代を過ごしましたか?
北川:高校時代からラジオなどのマスメディアに興味があり、メディアについて学べる大学を探していたときに、長崎県県立大学の情報メディア学科に出会いました。
この大学には「メディアスタジオ」というテレビ放送局のような本格的なスタジオ設備が整っており、学生が生放送を実際に収録・ネット上に公開できたんです。
受験前にオープンキャンパスにも足を運び、「ここなら本格的にメディアのことを学べて楽しそうだな」と思い進学を決めました。
情報メディア学科では映像制作やプログラミングなど、メディアにかかわる技術の学びが中心でした。またサークル活動を通じてラジオ番組を企画・制作など、高校時代から憧れていたラジオの制作にも関わることができました。
また、現在norosiのコーディネーターを務める栗山さんとも大学時代に軽音サークルで出会いました。
就職活動はどんなことを考えていましたか?
北川:ラジオ制作や軽音サークルでの経験を通じて、裏方として全体を支える仕事に大きなやりがいを見出すようになりました。
例えば、バンドのベースやラジオの音響は、普段スポットライトを浴びることはあまりないですよね。でも、彼らがちゃんと仕事をしているか否かで、実際の耳心地や満足感は大きく変わります。
「表に大きく出るわけではないけど、みんなで作るアウトプットの質を支える仕事」がとてもかっこいいなと思い、そうした仕事ができそうなテレビや広告業界の制作系職種を中心に応募しました。
ただ面接を受けてみると「君って営業の方が向いてそうだよね」と言われることも多く……(苦笑)。最終的には希望とは異なる、インターネット広告会社の営業職でキャリアをスタートしました。
就職後のキャリアも教えてください。
北川:1社目のインターネット広告会社の営業を経て、商品やサービスを「売り込む」のではなく、お客さまが求める「サポート」を提供したいと思うように。
そこで次の職場として選んだのが、商業施設のインフォメーション職です。インフォメーション職はお客さまへの情報提供がメインで、売り込みとは異なる「提案型」の仕事である点に魅力を感じました。
インフォメーションには毎日たくさんのお客さまがいらっしゃいます。当然、自分が知らないことを聞かれることもある。
でもそのときに「分からないです、すみません」と回答をしてしまうと、厳しい言い方になってしまいますが、案内役としては失敗なんです。
「インフォメーションのプロフェッショナルとして受付に立つからには『知らない』では済まされない」と当時考えていたので、現職時には商業施設全体の知識だけではなく、世の中で流行っているものやブランド・消費活動まで広く情報収集する習慣が身につきました。
また、インフォメーション職は毎日多くの人と会話するお仕事なので、その方の置かれている状況を瞬時に察知し、適切に対応する力も問われます。
そうした「人を見る力」は、インフォメーション職を経て自然と培われたものと感じますし、それが現在のコミュニケーションマネージャーの業務にも大いに役立っています。
norosiに参画したきっかけは?
北川:アドリブワークスとの出会いは、もともと大学の先輩である(栗山)依子さんから声をかけていただいたのがきっかけです。依子さんが担当していた赤ちゃん向けのようかんの企画・開発にあたって、モニターをしてほしいと依頼されたのが最初の仕事でした。
そこから徐々に簡単な問い合わせ対応やチャットなどの依頼が増え、関与の幅が広がっていきました。
当時の私は、自分のライフワークバランスについて再考しインフォメーション職を退職、子育てに奔走していた時期。なので最初は「仲のよい依子さんの頼みだから」というのが理由としては大きかったです。
仕事の幅が広がるとともに、アドリブワークスの活動やnorosiのビジョンをきちんと理解し、改めて「よい会社だな」「応援したいな」と思うようになりました。
norosiの活動のどんな点に魅力を感じましたか?
北川:アドリブワークスが当時から掲げていた「スタートアップの土壌に種を植える」というミッションや、「個人の自己実現を目的とした起業」というコンセプトに共感しました。
自分の信念に基づいて行動する起業家たちを支援し、彼らが夢を叶える過程を近くでサポートできることは、とてもやりがいのあることだなと今でも実感しています。
起業家の方たちと向き合うときに心掛けていることを教えてください!
北川:起業家の方とコミュニケーションを取るときは、言葉を文字通りに受け取るのではなく、その裏にある背景を読み解くことを心がけています。
起業家の方々は、あらゆる可能性や懸念事項を考え抜いた末に、私たちへ相談をします。ですが、みなさんお忙しいこともあり、考えたプロセスをすべて説明していただく時間はない場合がほとんどです。
この前提を踏まえて「その人がどのようなプロセスを経て結論を出したのか」「どんな背景があってこの質問をされているのか」を想像する姿勢が、起業家の方とのコミュニケーションにおいて重要だなと。
もちろん、すべてのプロセスや背景を察することは不可能です。しかし少なくとも「ちゃんとあなたの考えを想像し、理解しようとしていますよ」というメッセージを伝えることは、起業家の方たちに寄り添う第一歩だと思っています。
真摯な対応には相応の時間がかかりますが、それが「norosi」というサービスの本質だと思いますし、私自身も起業家の方たちが安心して相談できる場を提供することにやりがいを感じています。
北川さんが考える、起業家にとって大切な心構えとは?
北川:否定意見にこそ、勇気を持って耳を傾けるのが大切だと思います。
多くの人から賛同されるアイデアは、既に大手が取り組んでいたり、競合の参入を許してしまう可能性が高かったりするもの。否定の中にこそ、まだ世の中にはない新しい価値やビジネスチャンスが隠れていることも多いです。
その意見を積極的に取り入れるかどうかは別にして、それに対して耳を塞ぐのではなく「そういう意見もあるんだな」と認めるだけでも、物事の見方や発想が広がります。
その上で、自分の信念を基に判断すれば良いんです。「否定意見もあるけれど、自分はこうするぞ」という意志のこもった決断を繰り返す中で、気持ちの揺らぎが徐々に小さくなり、一本芯の通った起業家へと成長していくのだと思います。
最後に、起業家の方たちへメッセージをお願いします!
北川:起業は大変なことも多いですが、否定されたり、行き詰まったりしたときにこそ「なぜこれをしたかったのか」を思い出してみてください。
その強い気持ちが、大きな壁を乗り越える力になります。私たちnorosiメンバーも全力でサポートしますので、自分の信念を貫きながら、起業への道のりを楽しんでいきましょう!
norosiメンバーに聞く、北川さんってこんな人
視野がとても広く、norosiに参加する起業家やステークホルダーも含めて、全体を俯瞰した上で「norosiはこうあるべき」と提案してくれる。小さな思いや声を拾い上げ、多くの起業家からも信頼されています。
仕事でもプライベートでも頼れる存在! 複雑になりがちなnorosiプログラムの全体像やスケジュールもきちんと把握して、やるべきことをきちんとやりきってくれる安心感があります。
知的好奇心が高く、norosiの起業家や携わるビジネスに対するリサーチ力がすごい! 一人ひとりに対するレスポンシブも丁寧で、持ち前のホスピタリティが発揮されていると思います。